
なぜ自動車保険は年末調整の保険料控除に入らない?控除対象も解説!
※当ページには一部広告が含まれています。
各種保険は当然、年末調整における保険料控除の対象に含まれていると思っている方もいるでしょう。
しかし保険の中でも自動車保険については、例外を除いて対象に入らない決まりになっているのです。今回はそれがなぜなのか理由の解説を出発点として内容をまとめました。
また例外を除いての例外とは何なのか、どの種類の保険であれば対象になるのかについても記載しています。控除以外で自動車保険の費用負担を節約する方法にも触れていますので、ぜひご一読ください。
なぜ自動車保険は年末調整の保険料控除に入らないのか
所得税法上で自動車保険が年末調整の保険料控除の対象外になっている理由は、保険料控除の基本的な考え方を知ると見えてきます。その考え方は、社会生活を送る上で最低限なくてはならないものに関し、その保険料を課税標準から控除するというものです。
とくに地方であれば、通勤や買い物など大部分の方にとって自動車はなくてはならないものでしょう。しかし法律では社会生活を送る上で最低限なくてはならないものとはいえず、贅沢品としての位置づけになっていると考えられます。
ただ納税地を管轄する税務署の所長が認めれば、一部例外的に控除が可能なケースはあります。たとえば、身体に障がいを抱えている、介護が必要な状態にあるといった事情で、自動車がないと暮らせない場合です。
平成18年までは「損害保険料控除」が認められていたが廃止
税制改正を機に、平成19年より自動車保険を含む全部の損害保険が、保険料控除不可となっています。ただ、自動車保険そのものは改正前から所得控除の対象に含まれていなかったため、この損害保険料控除の対象にも入っていませんでした。
ただ傷害特約などを自動車保険の特約として付けていた場合は話が変わってきます。対象となる特約部分に関しては、損害保険料控除の形で所得控除が可能だったのです。なお、損害保険料控除の上限は15,000円と、恩恵が少ない制度でした。
事業用で車を使っているなら必要経費にできる(損金)
事業者が事業で使用している自動車の保険料を払い込んでいるのであれば、その保険料を必要経費、損金として計上できます。この点については、法人であっても個人事業主であっても扱いは同じです。
なお、ほかにも以下の自動車に関する経費の計上が認められています。
- 車の購入(減価償却で数年に分割して経費に計上)
- 燃料
- 車検
- 洗車
- 自動車税・重量税
- 駐車場
完全に事業用としてしか使っていない場合は、車に関するすべての経費の計上が可能です。これに対し、事業とプライベートの両方で使っている場合には、比率に応じて経費として計上が認められる金額に違いが出ます。
なお自動車保険には自賠責保険と任意保険の2種類があるのはご存知でしょう。気になるのは両方を経費として計上できるのか否かですが、幸いなことに自動車まわりで経費として計上できるものに含まれています。
年末調整で控除対象の保険一覧
平成19年に実施された税制改正によって損害保険料控除が不可能になりましたが、かわりに地震保険料控除が認められています。
そのほかに年末調整で控除が認められている保険は、生命保険料や社会保険料です。個々の仕組みについて少し詳しく解説します。
生命保険料控除
ひとくちに生命保険といっても、どの種類の保険料を払い込んでいるのかによって、保険料控除が認められるかどうかが違ってきます。控除の対象となっているのは、以下の3種類です。
- 生命保険料
- 介護医療保険料
- 個人年金保険料
該当する場合、年間の払い込み保険料によって、一定金額の控除ができます。最高金額は年間の払い込み金額が80,000円超で、40,000円の所得控除を受けることが可能です。
なお、5年に満たない短期契約では控除対象外となるものもあるため、気をつけなければいけません。
社会保険料控除
本人と生活資金を共にしているパートナーなどが負担する社会保険料を支払った場合、実際に支払った金額についての所得控除が可能です。
たとえば、以下の種類の社会保険料が控除を受けられる対象に含まれます。
- 国民年金、厚生年金保険および船員保険、健康保険の保険料
- 介護保険料
- 雇用保険の被保険者として支払う労働保険料
- 国民年金基金と厚生年金基金の掛金
- 国民健康保険料または国民健康保険税
ほかにも対象はありますが、たとえば給与所得者は年金や健康保険などの社会保険料が給与から差し引かれ、それが社会保険料控除の対象です。
地震保険料控除
地震保険は、火災保険に付ける形で入る保険です。年末調整で控除の対象となるのは、地震保険部分のみとなっています。
年間払い込み保険料の金額に応じて、一定額が課税所得金額から控除されるしくみです。具体的な控除額をチェックしておきましょう。
- 1年の払い込み保険料が50,000円以下の場合は支払い額のすべて
- 1年の払い込み保険料が50,000円超の場合は50,000円
なお、保険料の総額を安くするため、複数年分の保険料をまとめて支払う方法もあります。この場合は、一括で支払った保険料の額を保険期間で割って算出した1年分の保険料が、毎年の控除対象額となるしくみです。
火災保険は控除の対象にならない
今から加入する火災保険は税制改正後のものとなるため、年末調整における控除の対象からは外れています。
しかし、改正前のタイミングで10年以上の長期火災保険の契約をしている旧長期損害保険料の場合、控除を受けられる見込みがあるのです。金額を見ていきましょう。
- 1年の払い込み保険料が10,000円以下の場合は支払い額すべて
- 1年の払い込み保険料が10,000円超20,000円以下の場合は支払い金額を2で割った額プラス5,000円
- 1年の払い込み保険料が20,000円超の場合は15,000円
なお、地震保険料とこの旧長期損害保険料の両方がある場合には、上限が65.000円になるわけではありません。
50,000円が控除額の上限として定められていますので、間違えないように注意しましょう。
自動車保険料は所得控除の対象や確定申告とは無関係
これまでに述べたとおり、事業用として自動車を使っている場合を除いて、基本的に自動車保険料は所得控除の対象には含まれていません。したがって、事業者ではない個人がプライベートで使っている車について、確定申告を意識する必要はないです。
ただ、個人であってもマイカーをプライベートだけではなく、仕事でほぼ毎日のように乗っている方は多いでしょう。たとえば営業社員として会社に勤めている方はとくに、自家用車を使いかなりの距離を走っているはずです。
この場合、営業社員が確定申告で車の経費を計上して、控除を受けることはできません。ただ、会社から受け取る手当金は、一定額まで税金が発生しないしくみです。
そしてその手当金を会社は経費として計上できます。手当金なしの方は、会社に相談してみるのも良いでしょう。
1年に1回は自動車保険を見直して節約を(一括見積もり)
自動車保険の保険料は年末調整における控除対象外ですが、費用負担を抑える方法はほかにもあり、それが加入している任意保険の見直しです。
とくに近年は、ネットの無料一括見積もりサービスを利用して、最安値の自動車保険に乗り換えている人が多くなっています。
利用は簡単で、サイト内のフォームに車両情報や希望の補償内容などを入力して、送信するだけです。あとは保険会社から提示される見積もりの内容を比較し、一番好条件な自動車保険に申し込むだけで済みます。
別の自動車保険に乗り換えても、補償内容のほか等級や無事故割引は引き継げるため、保険料だけを安くすることが可能です。一括見積もりを利用しても契約が義務なわけではないため、まずは一度、気軽に試してみることをおすすめします。
まとめ
基本的に事業者ではない個人が、自動車保険料の控除を年末調整で受けることはできません。しかし、今回ご紹介したように、以下の費用負担を軽くする方法を取り入れれば、損をしている気持ちはやわらぐのではないでしょうか。
- 仕事でマイカーを使っている場合は勤務先に手当金を請求する
- 自動車保険を一括見積もりで見直す
このうち手当金は、会社によって期待できない場合もあり、そもそも仕事で自家用車を使っていなければ受け取れません。一方、自動車保険の見直しは車を持つ任意保険加入者全員が可能です。
現状より年間で何万円も安くなったケースも続出しており、利用しない手はないといえます。とくに一括見積もりは、一度の申請でサイトに登録している保険会社に対し、文字通りまとめて見積もり請求が可能です。
そのため、自分で一社一社の見積もりを個別に取る時間や手間が省けます。また、代理店に相談し、契約した場合のインセンティブも発生しないためおすすめです。