対物超過修理費特約とは?加入すべきメリット・デメリット【まとめ】
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対物超過修理費特約とは交通事故で賠償責任を負った場合、相手側の修理費用がその車の時価額を上回った時に、超過分を補償してくれる特約のことです。
- 1.交通事故の被害者の車の修理費用が150万円だった
- 2.しかしその車の時価(車の価値)は120万円だった
- 3.対物保険で補償できるのは時価の120万円まで…
- 4.修理費用の残り30万円は自己負担となってしまう…
- 5.その超過分30万円を補償するのが『対物超過修理費特約』
対物保険を無制限で契約していても、補償されるのは車の時価額となっています。そのため、対物超過修理費特約を付帯しておけば仮に賠償額が時価を上回っても自己負担をせずに済みます。
対物超過修理費特約は自動車保険会社によって補償内容が異なります。
現在の保険料でも他の保険会社ならより充実した特約にできる可能性もありますし、今の補償内容ならより安い保険会社が見つかる可能性もあります。一度、自動車保険一括見積もりで試算を出してみることをおすすめします。
対物超過修理費特約とは?どんな特約なの?超過分を補償してくれる特約
冒頭でも説明しましたが、対物超過修理費特約とは交通事故で賠償責任を負った場合、相手側の修理費用が時価額を上回った時に、超過分を補償してくれる特約のことです。
対物保険は無制限補償を設定できるわけですが、いわゆる全損の場合、補償されるのはその車の時価が上限になります。
冒頭で説明した具体例をさらに詳しく解説します。交通事故の被害者の車の修理費用が150万円だとします。その後時価額が120万円であることが分かりました。
この場合、対物保険で補償されるのは120万円までです。理不尽な話に聞こえるかもしれませんが、約款上これは変えることができないため、それを超える分の補償はしてくれません。つまり超過分の30万円は自己負担になってしまうのです。
示談交渉が暗礁に乗り上げる理由が対物補償の金額の少なさです。これを解決するために導入されたのが対物超過修理費特約です。多くの保険会社では上限を50万円までとしていますが、これにより示談交渉がよりスムーズになります。
対物超過修理費特約を加入すべきメリット
対物超過修理費特約を付帯するメリットには何があるのでしょうか。その1つは前述の通り示談交渉をスムーズに進められるという点です。
被害者側にとって自己負担をしなければいけないというのは不満の理由になります。これを減らすことで相手側の精神的な苦痛がやわらげられるのです。
- 示談交渉がうまくいかない
- 結局裁判になり加害者側との和解
- 加害者側の敗訴になる
こういった可能性もあり得ます。こうなると加害者の経済的な負担はとても大きくなってしまいます。
自動車保険の主な目的は被害者の精神的な負担を金銭で補うというものです。この目的があることで、示談交渉が可能になり、被害者との円満解決が可能になります。これは決して過少評価できない事実です。
近年自動車を長く乗る傾向が多くみられるようになりました。10年は乗り続けるというドライバーも少なくありません。その間に自動車の時価は減少していきます。時間がたつと交換部品が少なくなり、修理費は高額になります。
示談交渉がスピーディーに解決すると加害者側の行政的、刑事的処分は軽くなります。ですから対物超過修理費特約に加入することにはメリットが大きいといえるでしょう。
対物超過修理費特約に加入するデメリット(上限50万円)
対物超過修理費特約はメリットのほうが大きいですが、デメリットもわずかながら存在します。デメリットとして挙げられるとすれば、補償額を超える分についてはすべて自己負担になってしまうということでしょう。
例えば修理費が100万円で時価額が40万円の場合、補償されるのは50万円までですから、自己負担額は10万円ということになります。修理費用が上がれば上がるほど自己負担額は増えてしまいます。
実のところ超過分については法律上の賠償責任はありませんので支払う必要はありません。それでも道義的な問題が生じます。加えて示談交渉が長引いてしまうというデメリットがあります。
各保険会社の対物超過修理費特約の補償限度額や適用条件
対物超過修理費特約は保険会社によって違いはあるのでしょうか。各損害保険会社の補償額をチェックしてみると、どの損害保険会社も同じ補償額が設定されています。基本的には50万円が上限になっています。
適用条件もほぼ横並びです。交通事故の加害者になり、相手に対する賠償責任が生じた場合、時価額(過失割合で勘案)が修理費用を上回る場合に補償が適用されます。
わずかながら補償額を上げられる自動車保険もあります。チューリッヒ保険の自動車保険は補償額を無制限まで上げることが可能です。ただし保険料が上がってしまうので、その分を考慮して加入するかどうかを決めることになるでしょう。
対物超過修理費特約で補償されない主な範囲
対物超過修理費特約は補償されるケースとそうでないケースに分かれます。補償されないケースとはどのような場合でしょうか。これを知っておけば実際に利用する際に適用の可否が分かります。
- 自然災害による損害(台風や洪水、津波などの自然災害により生じた損害)
- 親族への賠償
- 重大な法令違反(飲酒運転など)
このようなケースの場合は補償対象外になります。
【事例集】対物超過修理費特約の補償金額を事例とともに紹介
対物超過修理費特約が実際に適用される事例を考えてみることで、実際にどれほど利用価値があるかがわかるでしょう。
一例としてAさんの車が信号待ちをしていたBさんの車に追突しました。
この場合、Aさんの過失割合は10割ですべての賠償責任を負います。Bさんが運転していた車は購入してから8年が経過し、実際の時価額を算定したところ、車両本体は20万円の価値しかありませんでした。
整備工場に修理を依頼したところ、修理総額は45万円で時価総額を上回ります。
この場合対物保険で補償されるのは時価額の20万円までです。それを超える25万円については対物超過修理費特約の補償対象になり、Aさんが負担する必要はありませんでした。示談はスムーズに済み、Aさんの行政上の処分は比較的軽く済みました。
法的責任がないなら対物超過修理費特約はいらない保険?必要性はないってホント?
対物超過修理費特約が必要かどうかについてはいろいろな意見があります。まず法律上の観点から考慮してみると、時価総額を超える賠償については、基本的に加害者の責任にはなりません。
そうならあえて被害者の負担を負わなくても良いのではと思うかもしれません。ここで問題になるのが加害者の道義的責任と、被害者の精神的な苦痛です。
被害者は自分が予期せず事故に巻き込まれたわけですから、相応の補償がなければ受け入れられないと考えることでしょう。これが原因で示談交渉が難航します。
示談交渉が難航するとどうなるのでしょうか。加害者に対しては行政上、刑事上の処罰が課せられますが、示談交渉が長引くと処罰に影響が生じます。違反点数だけでなく仮に罰金刑になったとしても、罰金額が高額化する恐れがあるのです。
こうした観点からみると、対物超過修理費特約は示談交渉をスムーズに進め、加害者の社会的な制裁を最小限に食い止める効果があることが分かります。
対物超過修理費特約はもはや必須の特約になるのか?8割以上の方が加入する現状
対物超過修理費特約のメリットやデメリットを考慮してみると、この特約は加入する価値が高いことがお分かりいただけると思います。自動車保険契約者に関する調査によると、加入の現状は契約者の8割以上が対物超過修理費特約を契約しています。
時代の流れとともに自己の権利を主張する人が増加したため、些細なことでも裁判に持ち込まれることが多くなりました。自動車事故についても例外ではなく、万一加害者になってしまった場合の自衛手段も必要になっています。
このようなことを考えると対物超過修理費特約はもはや必須の契約であるというのはあながち間違いではありません。自分を守る手段となりうるのです。
特約付きのお得な自動車保険は一括見積もりですぐにわかる
対物超過修理費特約について考えてきましたが、自動車保険はすべて同じではなく、損害保険会社によって補償内容や保険料が異なります。対物超過修理費特約についても同様で、特約保険料も異なるのです。
特約保険料が異なるのであれば、同じ補償額で考えたときにより割安な保険料の自動車保険を契約するメリットは非常に大きいといえます。対物超過修理費特約を考えるときはやはり他の自動車保険と比較することが必要なのです。
対物超過修理費特約を契約したいと思う場合、ぜひ他の自動車保険を比較検討することをお勧めします。その際に有用なのが自動車保険一括見積もりサービスです。
このサービスを利用することで契約予定の自動車保険をより安く、補償が充実したものにすることができるのです。ちなみに一括見積もりサービスは無料で利用できます。もし利用したことがないのであれば一度検討してみるのはいかがでしょうか。
まとめ
対物超過修理費特約は加入者が増加している特約の一つです。対物保険ですべて補償されるというのは間違いで、たとえ賠償責任がないとしても、道義的な責任を負う可能性があることが分かったと思います。
示談交渉において、交渉が暗礁に乗り上げないためにも、対物超過修理費特約を契約することには価値が十分にあります。メリットをよく把握すれば加入する価値が高いことが分かるでしょう。
対物超過修理費特約をより有利に契約するためにも、自動車保険一括見積もりサービスを活用してみることができます。上手に比較すれば最適な補償を手に入れることができるでしょう。それが保険料の節約にもつながるのです。