搭乗者傷害保険とは?いくら貰える?人身傷害保険との違い【全知識】
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自動車保険には、法律による義務の強制保険と、自分で入る任意保険があります。この任意保険の中には搭乗者傷害保険というものがあります。
搭乗者傷害保険とは運転者を含めて事故にあった車に乗っていた全員に適用される保険のことです。
搭乗者傷害保険は必要なのかどうか、疑問に感じる人も多いでしょう。詳しくは後ほど説明しますので、ここではまず大事なポイントだけを説明しておきます。
搭乗者傷害保険 | 人身傷害賠償保険 | |
---|---|---|
補償範囲 | 契約の車に搭乗していた全ての人が補償の対象 | 契約の車に搭乗していた全ての人が補償の対象 |
車外補償(歩行中・他の車に搭乗中) | × | 〇(※家族以外は契約の車に搭乗中のみ) |
保険金 | 契約時、症状などで設定された金額が支払われる | 実際の損害額が支払われる(通院費、休業損害、精神的損害、葬祭費用など) |
支払いタイミング | 通院入院の5日経過時点 | 治療終了後が多いが、示談交渉を待たずに支払われる |
金額の上限 | 症状や部位ごとに補償額が設定されている | 3,000万~1億円/無制限 |
加入の有無でどれほど保険料に差が出るのか知りたい方は、自動車保険一括見積もりで比較しておきましょう。
搭乗者傷害保険と人身傷害保険は似ている保険内容で、もしかすると補償範囲が重複していて自動車保険を無駄に多く払っていることも考えられます。損し続けないために、一度一括見積もりで試算を出してみることをおすすめします。
搭乗者傷害保険とは?運転者を含めて事故にあった車に乗っていた全員に適用される保険
搭乗者傷害保険とは、運転者を含めて事故にあった車に乗っていた全員に適用される保険です。車に同乗していた全ての人に、次のような保険金が支払われます。
- 死亡保険金
- 医療保険金
- 後遺傷害保険金
- 重度後遺障害特別保険金
- 重度後遺障害介護費用保険金
上記の保険金は事故が発生した日から180日以内に、搭乗者が死傷したり障害が残った場合に支払われます。過失の度合いによって保険金が減ることがないので、100%の過失があった場合でも保険金を受け取ることができます。
さらに搭乗者傷害保険は、保険金を受け取っても等級がダウンしないところが特徴です。他車との事故が補償されるだけでなく、自損事故で死傷した場合も保険は適用されて、保険金がスピーディに受け取れます。
事故の相手の加入している保険から損害賠償金が支払われる場合も、搭乗者傷害保険は支払ってもらえます。
契約車の座席に正常に乗車していることが条件になりますので、危険な体勢で乗車している場合は補償を受けることはできません。例えば車の窓から身を大きく乗り出すなど、異常な体勢をとっていた場合は保険金はおりません。
よく比較される搭乗者傷害保険と人身傷害保険
搭乗者傷害保険と同じように契約した車の運転者や同乗者に対して支払われるものに、人身傷害保険があります。このため人身傷害保険に加入していたら、搭乗者傷害保険には入る必要はないのではないかという人もいます。
結論からいいますと、搭乗者傷害保険と人身傷害保険は両方加入していれば、とても手厚い補償を受けることができます。しかし補償内容が重なっているため、搭乗者傷害保険に加入していない人も多いようです。
搭乗者傷害保険と人身傷害保険の大きな違いは、主に保険金の支払われるタイミングと仕組みにあります。特に搭乗者傷害保険に加入するメリットとして、支払の早さがあります。どのような違いがあるのか、くわしく説明していきましょう。
搭乗者傷害保険と人身傷害保険では支払われるタイミング&仕組みが違う
人身傷害保険のみに加入している場合、保険金の支払は次のようになります。
- 受け取れる保険金は人身傷害保険金
- 支払のタイミングは損害額が確定した後
- 保険金額は契約範囲内で実費全額
次に人身傷害保険と搭乗者傷害保険の両方に加入している場合、保険金の支払は次のようになります。
- 受け取れる保険金は人身傷害保険と搭乗者傷害保険の両方
- 支払のタイミングは通院や入院の5日経過時点
- 保険金額はあらかじめ設定されている
支払のタイミングは、搭乗者傷害保険の方が早いところが特徴のようです。
搭乗者傷害保険と人身傷害保険は補償内容が重複する
人身傷害保険にプラスして搭乗者傷害保険に加入すると、補償内容が重複するので無駄ではないかという意見もあります。実際にプランの補償内容が重複するからと、搭乗者傷害保険を付けない保険会社も多くなってきています。
保険会社によっては搭乗者傷害保険を廃止している会社もありますが、重複部分を改善したサービスを提供している会社もあります。日常的に車に乗ることが多く、手厚い補償が欲しい人は両方加入するに越したことはありません。
しかし保険はあくまでも万が一に備えて入るものなので、毎月の保険料はできるだけおさえたいという人も多いでしょう。
両方加入すれば、その分保険料は高くなります。重複により、どれほどコストがかかってしまうのか気になる方は一括見積もりで調べることをおすすめします。
搭乗者傷害保険の補償範囲
搭乗者傷害保険の補償範囲は、保険会社の判断によって少し違いはあります。しかしながら契約した車に正しく乗っていて事故に合った場合は、死傷した搭乗者全員に保険金が支払われます。単独事故を起こした場合も、保険は適応されます。
逆にサンルーフから体を乗り出すなど、危険な乗り方で事故にあった場合には、保険金は支払われません。
具体的にはどんな人が補償の対象になり、どんな事故を起こした場合に保険金が受け取れるのでしょうか。
【1】事故の際に補償される対象について
搭乗者傷害保険では、契約の車に搭乗していた全ての人が補償の対象になります。具体的に保険金の受取ができるのは、次のような人です。
- ドライバー
- 被保険者本人
- 配偶者などの家族
- 友人などの他人
このように本人や家族でなくても、保険金を受け取ることができます。ただし搭乗者が正しく座席に座っていることが条件となり、シートベルト着用者には装着者特別保険金がおりる保険もあります。
特別保険金は、搭乗者が死亡した場合の死亡保険金に上乗せして支払われます。搭乗者全員が対象になるといっても、定員オーバーで法律違反をしていた場合には保険金は支払われません。
また定員内であったとしても、荷台などの座席ではないところに乗車していた場合も、補償の対象外となります。
【2】搭乗者傷害保険が支払われる事故内容
正しく乗車していて、事故で死傷した際には、搭乗者のひとりひとりに定められていた保険金が支払われます。搭乗者傷害保険金は、搭乗者全員に対するお見舞金と考えればわかりやすいでしょう。
搭乗者傷害保険が支払われる、具体的な事故内容は次のようなものです。
- 友人とドライブ中、あやまって電柱にぶつかり頭部を骨折した
- 家族で帰省する途中、他車に追突され全員むちうちになった
- 交差点で交通事故を起こして同乗者が死亡、自分は後遺症が残った
このように車対車の事故以外にも、単独事故でも搭乗者傷害保険は支払われます。1名につき保険金額を限度として支払われますので、複数で同乗していた場合も全員それぞれ支払われます。
搭乗者傷害保険の賠償額はあらかじめ決まっている
人身傷害保険に加入している場合には、よく搭乗者傷害保険は上乗せの補償だといわれています。では搭乗者傷害保険に加入していると、賠償額はいったいどれくらい支払われるのでしょうか。部位や症状で金額が違うというのは、どういうことでしょうか。
契約の範囲内で入院費や治療費の全額が支払われる人身傷害保険と違い、搭乗者傷害保険の報償額はあらかじめ決まっています。どのような怪我にどれくらいの補償がされるのか、細かく見てみましょう。
搭乗者傷害保険の補償は部位・症状によって決まっている
搭乗者傷害保険は、部位と症状によって支払われる保険金の金額が決まっています。諸部位別の具体的な保険金額の例は、下記のようになります。
頭部 | 10万円~110万円 |
---|---|
顔面部 | 5万円~20万円 |
頸部 | 5万円~80万円 |
背・胸・腹・腰部 | 5万円~90万円 |
手指・上肢部 | 5万円~35万円 |
足指・下肢部 | 5万円~80万円、 |
同じ部位でも、症状によって金額が大きく違います。症状には次のようなものがあります。頭部の金額は保険会社によっては100万円までのところもあります。
- 打撲やねんざ
- 挫創
- 挫滅創
- 熱傷
- 切断
- 神経や筋の損傷や断裂
- 内出血や血腫
- 骨折や脱臼
- 臓器の損傷
- 眼球の破裂
上記のうち、挫創や熱傷などは症状の度合いによって金額が違ってきます。おおむね症状が深刻なほどに、支払われる保険金額は高く設定されています。
通院や入院が5日以上の場合は設定された保険金額の他、後遺症障害保険などが支払われます。通院や入院が4日以内の場合は、一律1万円が支払われます。
搭乗者傷害保険のメリット・デメリット
搭乗者傷害保険は補償が二重になることから、人身障害保険に加入していれば搭乗者傷害保険には入る必要がないという意見もあります。しかしながら、人身障害保険と搭乗者傷害保険を一緒につけるメリットもたくさんあります。
逆に搭乗者傷害保険を付けないで、人身障害保険のみ付けた場合に感じるデメリットもいくつかあるでしょう。
ここでは人身傷害保険と搭乗者傷害保険の両方を付けた場合の、メリットとデメリットに注目してみましょう。
メリット(人身障害+搭乗者障害)
人身傷害保険に加入していれば、事故でけがをして通院や入院をした場合、保険金を受け取ることができます。しかし人身傷害保険は、実際に治療にかかった費用を基準に保険金額が決定するので、保険金を受け取るのは治療が終了してからになります。
一方搭乗者傷害保険は、5日以上通院や入院をした時点で、定額の保険金を受け取ることができます。治療が終わってなくても保険金がおりますので、当面の治療費の心配をする必要がなく、とても助かったという声も多いようです。
また比較的けがが軽症であった場合にも、5日以上の通院で保険金を受け取ることができるのもメリットでしょう。
デメリット(人身障害)
人身傷害保険だけに加入している場合、搭乗者傷害保険を付けていなくても、補償の面においては全く問題はないでしょう。むしろ搭乗者傷害保険を付けると、その分保険料は上がるというデメリットはあります。
しかし最近では人身傷害保険と重複する補償を削って、その分保険料を安くおさえたサービスを提供する保険会社も増えています。例えば、入院や通院を5日以上した場合、お見舞金として一律10万円が受け取れたりします。
人身傷害保険のみに加入している場合は、保険金の支払は治療が終わってからになるため、治療中は保険がおりません。手持ちのお金が少ない人や、すぐに貯金をおろせない時などは、人身傷害保険だけだと困ることがあるかもしれません。
搭乗者傷害保険が支払われないケース
搭乗者傷害保険は、次のようなケースには支払われませんので注意してください。
- 故意や重大な過失によって傷害が生じた場合
- 飲酒や薬物使用などによって傷害が生じた場合
- 無免許運転で傷害が生じた場合
- 自殺や犯罪などの行為によって傷害が生じた場合
- 戦争や暴動で傷害が生じた場合
- 地震や地震にともなう津波や噴火によって傷害が生じた場合
- 危険な方法で乗車していて傷害が生じた場合
- 盗難など契約者に無断で乗車していて傷害が生じた場合
上記の他にも、事故を起こす可能性がある持病のある人が運転していた場合なども、保険金が支払われないケースもあります。
保険会社によって細かく約款で定められていますので、確認しましょう。
搭乗者傷害保険は付けるべきなのか?保険会社によって加入率が違う
搭乗者傷害保険についてくわしく説明してきましたが、人身傷害保険にプラスして搭乗者傷害保険は付けた方がいいのでしょうか。
実際の加入率を見てみますと、保険会社によって大きく違いがあるようです。
搭乗者傷害保険の内容は、人身傷害保険との重複を避けるために、年々進化していたり特約がついたりしています。つまり内容によって、付けるべきか付けないかは変わってきますので、くわしく見ていきましょう。
保険金支払のスピーディさが魅力的
搭乗者傷害保険の一番の魅力は、なんといっても保険金がスピーディに受け取れるところにあります。通院や入院を5日以上した時点で、部位や症状により10万円~100万円の定額が受け取れるのはたいへん心強いでしょう。
人身傷害保険で治療費は後ほど補償してもらえますが、ふいな出費に対する備えがない場合には困ってしまいます。搭乗者傷害保険に加入していると、治療をしながら保険金が受け取れますので安心です。
また相手の保険から補償をしてもらった場合や、自分の人身傷害保険と重複している場合にも、保険がおりるのも魅力です。車に乗る機会が多くて、手厚い補償を求めるに人は、搭乗者傷害保険でしっかりした補償をつけている人は多いようです。
必須の保険ではない
搭乗者傷害保険は、人身傷害保険に加入していれば不要という人もいるため、加入はあくまでも任意です。保険金がスピーディにもらえるのは魅力的だけど、保険料は安い方がいいというのも、ドライバーの本音でしょう。
そういった利用者の意見を取り入れて、搭乗者傷害保険の内容を見直している保険会社はとても多いです。人身傷害保険と重複する補償は減らして、安い保険料で補償を手厚くしている保険会社もありますので、内容はしっかりチェックしましょう。
無駄な保険料を見直せる!安くてお得な自動車保険を選ぶなら『一括見積もり』を使え
まとめ
搭乗者傷害保険は、事故にあった車に乗っている搭乗者全員を補償してくれる、頼りになる保険だということがわかりました。人身傷害保険に加入している場合には、さらに手厚い補償が受けられるのは心強いです。
保険を使っても翌年の等級に影響しないことや、保険金の支払が人身傷害保険よりも早いことに魅力を感じるドライバーは多いようです。一方で搭乗者傷害保険に加入すると、保険金が高くなるという理由で、加入しない人もいます。
これからの搭乗者傷害保険は、人身傷害保険との重複部分を修正したものが多く、より加入しやすいものになっています。そのため内容や保険料は、保険会社によってさまざまなので、自分自身で確認して加入するのがおすすめです。