事故をしたとき『車両保険』は使うべき?事故有係数を基準に使おう!
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任意保険は、保険の種類によって補償範囲に違いがあります。重要性が高く、加入率が80%近い対物賠償保険は、人ではなく物に対する損害が生じた場合に保険金が支払われます。
しかし対物賠償保険は、事故の相手側へ補償金が支払われるものであって、被保険者に損害が生じたとしても補償されることはありません。
被保険者(こちら側)の自動車に対しての補償を受けるためには、車両保険への加入が必要となります。
車両保険のポイント |
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車両保険は事故によって契約車が破損した場合、修理費等を補償してくれる保険 |
車両保険はタイプによって補償範囲や保険料が変わる |
車両保険を適用すると等級が下がり、翌年の保険料が高くなる →状況によっては修理費を自己負担した方がお得になる |
補償額は車の今の価値によって設定される |
車の価値によっては(廃車予定がある場合など)は車両保険を抜く方がお得 |
事故した場合に車両保険を使うべきかどうかだけでなく、そもそも車両保険に加入すべきかどうかで迷っている方もいらっしゃるはずです。
一度、各保険会社の補償内容と見積額が比較できる自動車保険一括見積もりを使って検討してみてはどうでしょうか。
一括見積もりなら車両保険を加入した場合と未加入の場合でどれほど保険料に差が出るのか試算することができるのでおすすめです。
車両保険とは事故によって契約車が破損したとき修理費等を補償してくれる保険
車両保険は、事故によって契約車が破損した場合、修理費等を補償してくれる保険のことです。
車両保険には、次の4種類があります。
- 一般車両保険(フルカバー)
- 車対車特約付き車両保険(エコノミー)
- 車両危険限定A
- 車対車特約付き車両保険+車両危険限定A(エコノミー+A)
基本的には一般車両保険がベースとなり、その他の3つは特約で補償が限定されます。
4種類の車両保険について
一般車両保険(フルカバー)は車対車、単独事故など事故の相手や内容、過失に関わらず補償が適用されます。また事故だけではありません。
- 盗難や物の飛来
- 台風
- 洪水
- 火災
といった予期せぬ損害に対しても、適用されるものです。想定される事故や災害のほとんどに対応できますので、損害補償としてはパーフェクトと言えるでしょう。
車対車特約付き車両保険(エコノミー)は一般的に「エコノミー車両保険」と呼ばれているものです。相手の自動車と衝突又は接触した際に生じた損害に対してのみ補償が適用されます。車対車の事故のみになりますので、単独事故や当逃げ、盗難などは補償されません。
車両危険限定Aは、一般車両保険に特約を付け、補償範囲を限定的にしたものです。交通事故や単独事故などによって生じる損害以外を補償するもので、例えば台風や火災、盗難などの被保険者が想定し得ない事態で損害が生じた場合に補償が適用されます。
車対車特約付き車両保険+車両危険限定Aは、上の2つの補償内容を組み合わせたものになります。こちらは必要最低限の補償を受けられる上、保険料を安く抑えられることから、加入される方が多いようです。
車両保険は必要か?そうでない?必要に応じて加入すべき
一般的に、車両保険を付けると年間の保険料が高くなると言われています。そのため、少しでも安く押さえたい方は、車両保険に加入しないことも多いようです。しかし加入していなければ、自分の車に損害が起きた場合に補償されません。
高い保険料の支払いで損をせず、自分の車に対しての補償を十分に受けるためには、必要に応じて車両保険へ加入するのをおすすめします。
では、どのような車に車両保険が必要なのか、必要ではないのかについてみていきましょう。
車両保険が必要な車・そうでない車
車両保険は、車の価値に合わせて加入をするのが賢い方法です。そのため、資産価値の高い新車や高級車には必要と考えられます。車両保険(一般車両保険)で補償されるのは、他人との事故による損害だけではありません。
自損事故による損害や盗難、当て逃げなど想定される範囲で損害が起きた場合でしたね。例えば高級車に傷を付けられた場合、その修理費用は一般的な車よりも高額になる可能性が高いでしょう。盗難にあった場合も、被害額は相当なものになります。
新しい車を購入するにあたっても、高額な費用が必要ですよね。そのようなとき、車両保険に加入していれば補償範囲内で損害をカバーしてくれるのです。また、車両保険の補償上限額は、保険契約時の車の時価額で決められます。
車の価値は10年目以降になると大幅に下がります。時価額の低い車には、車両保険の補償額を高く設定することはできません。
そのため、新車購入時に車両保険に加入していた方も、10年を目安に車の価値と保険料のバランスを見直した方が良いでしょう。
車両保険を使うと保険料が上がるってホント?3等級下がってしまうためホント
車両保険はもともとの保険料が高いうえに、車両保険を使うことで等級が下がり、翌年以降に保険料が更に高くなってしまいます。支払われた補償額が10万円でも30万円でも、金額に関係なく3等級下がってしまうのです。
そして等級が戻り、保険料が下がるのにも3年かかってしまいます。そのため損害が小さく、修理代が自分で賄える場合は車両保険を使わない方が、翌年から保険料も上がらずに済みます。
そこで、車両保険加入時には免責金額を設定しておくとよいかもしれません。5万円や10万円など自分で修理額を賄える金額にしておけば、保険料を安くすることができるからです。
車両保険を使った全てのケースで保険料が下がるわけではありません。例えば等級が上がっていた場合ですと、3等級下がっても等級がそのままの場合もあるからです。この場合は、翌年からの保険料が高くなることもありません。
車両保険を使うと保険料が上がるのではと心配な時は、車両保険で等級が下がった場合の保険料について確認するなどして、コストパフォーマンスの良い使い方を選ぶと良いでしょう。
2013年以降は「ノンフリート等級制度」
2013年以降、自動車保険ではノンフリート等級制度が適用されています。保険料負担の差別化を図るために導入されたもので、保険料の割引や割増を事故歴に応じて適用する制度の事です。
1等級から20等級の20段階があり、初めて契約するときは6等級から開始となります。契約開始から更新までの一年間、保険を使わなければ1等級上がりますので、2年目は7等級になります。
等級が高いほど保険料の割引率も大きくなり、反対に数字が小さいほど、小さくなる仕組みです。尚、1から3等級ですと保険料が割増しとなります。
等級が低い=ドライバーの事故リスクが高く保険料も高い、等級が高い=ドライバーの事故リスクは低く保険料が安いということになります。
「事故有係数」と「無事故係数」とは?
ノンフリート等級制度では7等級以上になると、事故有係数が適用される保険と、無事故係数が適用される保険に分かれます。
これは契約時から前年までの事故歴に応じて適用されるもので、事故有係数の方が割引率は小さいため、保険料が高くなります。
また、事故有の割引率が適用される期間を、事故有係数適用期間と呼びます。保険を使用して3等級下がった時は3年、1等級下がっときは1年間適用されます。
例えば15等級の人が事故を起こし、3等級下がったとします。事故有係数適用期間の3年間、事故等で保険を使用しなければ1年ごとに1等級上がっていきますので、4年後に再び15等級に戻ることができ、保険料も無事故係数の割引率が適用されます。
等級制度における事故有と無事故の割引率
※▲が割引率、+が割増率です。
等級 | 事故あり | 無事故 |
---|---|---|
20等級 | ▲44% | ▲63% |
19等級 | ▲42% | ▲55% |
18等級 | ▲40% | ▲54% |
17等級 | ▲38% | ▲53% |
16等級 | ▲36% | ▲52% |
15等級 | ▲33% | ▲51% |
14等級 | ▲31% | ▲50% |
13等級 | ▲29% | ▲49% |
12等級 | ▲27% | ▲48% |
11等級 | ▲25% | ▲47% |
10等級 | ▲23% | ▲45% |
9等級 | ▲22% | ▲43% |
8等級 | ▲21% | ▲40% |
7等級 | ▲20% | ▲30% |
6等級 | ▲19% | |
5等級 | ▲13% | |
4等級 | ▲2% | |
3等級 | +12% | |
2等級 | +28% | |
1等級 | +64% |
車両保険を使い保険料が上がらない場合
基本的に、事故によって車両保険を使うと3等級下がります。これを3等級ダウン事故と言います。翌年の等級が下がり割引率が低くなるため、保険料が高くなってしまいます。
しかし場合によっては保険を使っても等級が下がらず、保険料が上がらないこともあります。それはノーカウント事故と呼ばれるもので、人身傷害保険や弁護士費用特約など、所定の保険や特約を使用した事故のみで適用されます。
ノーカウント事故の対象になる保険や特約であれば、支払われた補償額に関係なく、翌年の等級に影響が出ることはありません。
等級プロテクト
2012年までの自動車保険では、等級プロテクトと呼ばれる、事故を起こしても翌年の保険料が上がらない特約がありました。年に一度までの事故なら、保険を適用しても翌年の等級が下がらないようにできるものです。
例えば10等級で事故を起こしても、翌年も変わらず10等級のままで、保険料の割引率も変わらないというものでした。
被保険者は翌年の保険料の値上がりを気にすることなく、損害が少額の事故でも気軽に保険を使えるメリットがあるため、大変人気があったようです。
しかしその後、等級プロテクトの特約が無くなった保険会社では、新規申し込みをした場合、事故有係数が適用されることとなります。
事故有係数は事故リスクの高い契約者にはそれ相応の保険料の支払いを求め、無事故契約者との差別化を図ることを目的としています。
等級プロテクトについては、改定以前に契約されたものは現存していますが、改定後はほぼすべての保険会社で廃止となっていますのでご注意ください。
飛び石は等級据え置きか1等級ダウン
車両保険に加入している車が飛び石の被害に遭った場合、ノンフリート等級制度の等級はどのように変化するのでしょうか。2012年10月以前の保険では、等級プロテクトを特約として付帯することができました。
その場合は等級プロテクトが適用される等級据え置き事故となりますので、等級や保険料が変わることを心配せず、保険を車の修理に当てることが出来ました。
しかし2012年10月以降に保険に加入した方は、1等級ダウン事故として扱われます。そのため、1等級下がることで翌年以降値上がりする保険料と、修理費用を比べて、金銭的負担がない方を選ぶ必要があります。
どちらが良いかを計算できない時は、契約している保険会社に問合せすると、シミュレーション結果を教えてくれます。
保険会社を変更しても事故有係数は引き継がれる
適用期間中に保険料の割引率が低くなる事故有係数は、例え保険会社を変更したとしても引き継がれていきます。
- 等級
- 事故有係数
- 事故有係数の適用期間
- 契約者の事故歴
これらが引き継がれますので、保険会社を変更したからといって、等級が改善されるわけではありません。また、事故有係数は保険会社への告知義務があります。
偽った場合は、補償金が支払われなかったり、告知義務違反で解除される可能性もあります。
各保険会社同士で上記の項目を共有しているため、虚偽報告のメリットは一切ありません。保険会社を変更する場合は、等級や事故有係数などの重要項目についての申告をきちんと行いましょう。
車両保険を使うべきか?それとも使わない?金額で判断する
車両保険は、自分の車に損害が生じた場合に適用される保険ではありますが、車が傷つくたびに保険を使っていたら等級がどんどん下がり、保険は高くなる一方です。
守られるはずの保険で損をし、結果的に自己負担額が増えていては元も子もありません。
使用するか迷った時には、等級ダウンによる保険料の値上がりと車の修理費用を比べることが大切です。事故の際に保険を使うか、使わないかの判断について、詳しくみていきましょう。
少額の修理代なら自腹・高額は車両保険
車両保険は、少額の修理代なら自己負担、高額であれば保険を使うと良いでしょう。
車両保険を使うと、現在の等級から3等級または1等級下がって事故有係数が適用されますから、割引率が低くなり、翌年の保険料は値上がりするとご説明しましたね。
そこで、13等級の人が3等級ダウン事故を起こし、保険を適用した場合としない場合では、翌年の保険料にいくら差がでるのかを調べました。
実際にシミュレーションをしてみると
ある保険会社の保険内容でシミュレーションしてみたところ、保険を適用した場合では117820円、しない場合では76570円となり、41250円の差額が出ることがわかりました。
事故有係数の適用が終わり、等級が戻る4年後までの合計差額は119180円となります。
このことから、車の修理費用がこれよりも安ければ自己負担を、高ければ保険を使用するのが、保険料で損をしない方法であるといえます。
車両保険の保険金額と補償範囲
車両保険は、掛け金を高く払っているからといって、それに比例して保険料が多く支払われるわけではありません。車両保険の保険金額は、自分で上限額を決めることはできないのです。
何で決まるのかというと、協定保険価額です。協定保険価額とは車種や年式、仕様などを参考にして市場を調査し、導かれた車の価値のことを言います。車は、年数が経つごとに価値が下がっていきます。
そのため、事故を起こしたときの車の価値と車両金額の補償金額が適切になるように、協定保険価額をもとにして車両保険の保険金額が決められることになっています。
新車の場合は購入時の価格が協定保険価額となり、契約の2年目以降からは1年毎に自動的に変わります。保険金額は保険会社に委ねることになりますが、補償内容や保険内容は自分で選べます。
車両保険は付けるべき保険の一つ
車両保険は自分の車に対する保険です。任意保険の中でも加入率の高い対物賠償保険がありますが、これは事故によって相手に損害が生じたときに相手に支払われる補償となりますから、自分の車へのメリットはありません。
もし車対車の事故がおき、事故の相手が対物賠償保険に加入しておらず、支払いを放棄した場合はどうなるでしょうか。自分の車の修理代や買い替え費用を、全て自己負担しなければならなくなります。
車両保険に加入していれば、過失割合に関係なく補償範囲内で補償されますから、相手に支払い能力がない場合や自分に過失が認められる場合でも、支払われる保険金を車の修復に当てることができるのです。
保険料が高くなることがネックで加入率が低い保険ですが、もしもの場合のメリットが多いため、価値の高い車ほど付けるべき保険と言えるでしょう。
車両保険の種類とお得な切り替え方法
自動車保険は、補償範囲が広くなるほど保険料が高くなります。車両保険も同じでフルカバータイプとエコノミータイプでは、フルカバータイプの保険料が高くなります。
上述した通り車の価値が高い新車や高級車には、補償内容が充実したフルカバータイプが良いでしょう。例え盗難に遭い、ローンだけが残ったとしても、保険金を返済に充てることができるなど、自己負担額が少なくて済みます。
車の価値は年数とともに下がっていきます。10年目を迎えた車にフルカバータイプを付けていても、保険料や保険金額、車の価値のバランスが良いとは言えません。
保険料を無駄にしないためには、車の年数に合わせて、車両保険を変更または解約することをおすすめします。切り替えの例を以下にまとめました。
新車購入時(車の価値が100万円以上) | フルカバータイプ |
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5~6年目(車の価値が50万円以上) | エコノミータイプ |
10年目(車の価値が50万円未満) | 車両保険解約 |
上記のタイミングを目安にすると、お得に切り替えることができるでしょう。
保険料が気になる方は一括見積もりで見直そう
車両保険の保険料や保険内容は、保険会社によって違います。同内容の保険プランであっても、安い料金で扱っているところもあります。
各社の料金を比較して、安い保険会社に切り替えられれば、保険料の負担を軽くすることができるでしょう。そこで、補償内容の条件を同じくして保険料の違いを知ることができる、一括見積りをおすすめします。
まとめ
車両保険の仕組みについて、ご理解いただけましたか。簡単ではありますが内容をまとめました。
- 車両保険は4種類
- 種類によって、補償内容や保険料が変わる
- 車両保険の保険金額(万が一の際に支払われる保険料)は、車の価値によって自動的に変わる
- どの種類の車両保険を付帯するかは、車の価値とのバランスで判断すると良い
- 車両保険を適用すると等級が下がり、翌年の保険料が高くなるため、場合によっては自己負担した方がお得になる
- 車の年数や価値を目安に、車両保険の変更や解約を検討すると保険料の負担減につながる
- 補償内容の条件を変えないまま保険料を安くする方法として、一括見積りがおすすめ
保険料が高いとされる車両保険ですが、メリットが多い保険でもあります。以上を参考に保険を賢く利用しましょう。