【注意】自損事故で車両保険を使うと等級ダウン!修理代で判断しろ
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自動車保険の保険料は等級に応じて割引され、1年間無事故で過ごせると等級は1つ上がる仕組みになっています。等級が高くなるほど自動車保険の保険料を軽減できますから、等級の維持に努める運転者は少なくありません。
もちろん運転時には不測の事態があり得ますし、自損事故を起こすと車両保険を使う事態につながりかねないところです。自損事故で車両保険を使った場合には、自動車保険の等級はどのようになってしまうのでしょうか?
今回は車両保険の適用と等級ダウン事例のほか、自損事故を起こした後の対応を徹底解説していきます。
自損事故で車両保険を使うと”等級ダウン”は免れない
自動車運転の事故では、相手がいる事故以外に、単独事故や物損事故とも称される自損事故が存在します。自損事故は基本的に自身の運転ミスを原因とした事故であり、事故に他人を巻き込んでいないこともその特徴に当てはまります。
一般車両保険に加入している場合は自損事故でも補償を受けられますが、車対車+Aや車対車といった車両保険では自損事故を補償の対象にしていません。
- 障害物(電柱や車庫など)への衝突・接触
- 当て逃げ
- 落書き・いたずら
- バック事故
- 縁石に乗り上げる
- 盗難
- 車が崖から転落
自動車保険の車両保険に加入しているからといって、必ずしも自損事故で車両保険を使えるわけではないので注意が必要です。また、車両保険を使用して自損事故の補償を受けるのであれば、3等級ダウンや事故有り割引率の適用も免れることはできません。
自損事故で車両保険を使うと保険料の負担が厳しくなりますから、自損事故の発生時には慎重な判断が求められるでしょう。
【パターン別】等級ダウンになる事例一覧
車両保険の使用で等級ダウンになる事例として、一般的にどのようなパターンが知られているのでしょうか?3等級ダウンや1等級ダウンの事例に加えて、等級ダウンが起こらないノーカウント事故の事例を確かめてみましょう。
【3等級ダウン事例】翌年から3年間保険料が大幅UP
3等級ダウン代表的な事例 | 電柱やガードレールへの衝突・接触 |
---|---|
車同士の衝突・接触 | |
自動車の墜落・転覆 | |
当て逃げ |
車両保険を使用した場合に3等級ダウンが起こる代表的な事例は以上の通りです。自損事故で受けた車の損害を車両保険でカバーするときには、もちろん3等級ダウンになってしまいます。
車両保険を使って3等級ダウンに該当するのなら、事故有り割引率の適用も同じく3年間続くので気をつけてください。
もしも事故前に10等級だった場合には、3等級ダウン前後の流れは以下の通りになります。
- 無事故の10等級
- 3等級ダウン事故に車両保険を使用
- 次年度は事故ありの7等級
- 2年後は事故ありの8等級
- 3年後は事故ありの9等級
- 4年後は無事故の10等級
事故に車両保険を使った翌年から3年間は、等級ダウンと事故有り割引率の適用があわさり、保険料が大幅にアップします。
保険料アップが続く間にさらなる等級ダウンを起こさなければ、4年後には事故前の等級に戻り、事故有り割引率の適用も終わるでしょう。
【1等級ダウン事例】翌年から1年間保険料UP
1等級ダウン代表的な事例 | 台風や洪水などの風水害 |
---|---|
落書きやいたずら | |
窓ガラスの破損 | |
飛来中・落下中の他物との衝突 | |
火災・爆発 | |
盗難 |
車両保険を使用した場合に1等級ダウンが起こる主要な事例は以上の通りです。1等級ダウンは、3等級ダウン事故よりも偶然性が高い事故や、自分ではどうにもならない事故に適用される傾向があります。
このような出来事には地震や津波なども想定されますが、これらは巨大な損害を生むので車両保険では補償の対象になっていません。車両保険の使用で1等級ダウンになった際には、保険料の負担が増える事故有り割引率の適用は1年間のみです。
自動車保険の等級は1年間で1等級アップしますから、1等級ダウンの2年後には事故前の等級と無事故の割引率に戻ることができます。
【ノーカウント事故事例】翌年から保険料UPなし
ノーカウント事故代表的な事例 | 搭乗者傷害保険 |
---|---|
人身傷害補償保険 | |
無保険車傷害保険 | |
ファミリーバイク特約 | |
弁護士費用特約 |
保険金請求を実行しても等級や保険料に影響せず、事故件数として数えられない事故をノーカウント事故と呼びます。ノーカウント事故は車両保険とほぼ無関係であって、以上の保険や特約を使う場合がノーカウント事故に相当します。
ノーカウント事故では等級ダウンと事故有り割引率の適用を避けられるため、翌年の保険料アップは発生しません。事故に対して自動車保険で補償を受ける場合には、等級ダウンの有無を見極めることが大切です。
《注意》車両保険が”エコノミー型”の場合は自損事故が補償されない
補償範囲 | 一般車両保険 | エコノミー(車対車+Aかスタンダード) |
---|---|---|
車同士の衝突や接触 | ○ | ○ |
飛来物との衝突 | ○ | ○ |
火災や爆発 | ○ | ○ |
台風や洪水などの風水害 | ○ | ○ |
落書きやいたずら | ○ | ○ |
車の盗難 | ○ | ○ |
電柱などに対する自損事故 | ○ | × |
当て逃げ | ○ | × |
自転車との接触 | ○ | × |
車の墜落や転覆 | ○ | × |
車が事故で損害を受けた場合に補償を受けられる車両保険においては、各保険会社によっていくつか種類が用意されています。
車両保険の代表的な種類は一般車両保険と車対車+Aの2つであり、車対車+Aの車両保険は一般車両保険よりも保険料が安い特長を備えています。
自損事故の補償は一般車両保険しか対応していませんから、自損事故のリスクを考慮するのなら一般車両保険が主な選択肢になるでしょう。
車を運転する機会がそもそも多い場合や、車を何かにぶつけかねない運転初心者にエコノミーの車両保険はおすすめできません。
【大手保険会社10社】自損事故に対する対応可否一覧表
保険会社名 | 自損事故対応可否 |
---|---|
ソニー損害保険 | 一般型で対応可能 |
共栄火災海上保険 | 一般型で対応可能 |
東京海上日動火災保険 | 一般条件で対応可能 |
チューリッヒ保険 | ワイドカバー型で対応可能 |
セゾン自動車火災保険 | 一般車両型で対応可能 |
アクサ損害保険(アクサダイレクト) | 一般車両で対応可能 |
損保ジャパン日本興亜 | 一般条件で対応可能 |
イーデザイン損害保険 | 車両保険で対応可能 |
三井住友海上火災保険 | 一般補償で対応可能 |
あいおいニッセイ同和損害保険 | 一般補償で対応可能 |
車両保険は使うべき?それとも自腹?修理代からお得な方を選べ
契約している車で自損事故が起きた場合には、車両保険を使うべきなのか、それとも自腹で車の損害をカバーしたほうが良いのでしょうか?
車両保険を使用する判断基準のほか、車両保険を使う前に知っておきたい保険料の節約方法を続けてチェックしてみましょう。
【シミュレーション】自損事故で車両保険を使うか判断すべき”保険料差額”
自損事故で車両保険を使うと3等級ダウンと事故有り割引率の適用が起こるため、3年間も車両保険の保険料は大幅アップしてしまいます。
保険料の負担が増えると結果的に損する可能性も心配されますが、これは保険料差額を自分でしっかり確かめてみないと判断できません。
自損事故の保険料差額を試算する場合には、車両保険を使用しなかった3年間の保険料と、車両保険を使用した3年間の保険料を比較します。それでは実際にシミュレーションしてみたので見てみましょう。
経過年数 | 車両保険を使用する場合 | 車両保険を使用しない場合 | 差額 |
---|---|---|---|
1年 | 48,800円(月々4,200円) | 40,900円(月々3,600円) | 7,900円 |
2年 | 46,900円(月々4,100円) | 39,900円(月々3,500円) | 7,000円 |
3年 | 44,100円(月々3,800円) | 38,100円(月々3,300円) | 6,000円 |
合計金額 | 139,800円 | 118,900円 | 20,900円 |
- 年齢:30歳以上
- ゴールド免許
- 年間走行距離3,000km
- 運転者:本人限定
- 対人・対物:無制限
- 15等級(事故有係数0年)
試算方法としては、車両保険の種類や自動車保険の等級などを踏まえたうえで、等級ダウンや事故有り割引率を当てはめる手順が欠かせません。
保険料差額の試算では、車両保険を使った次年度の保険料差額が最も大きくなり、2年目や3年目では保険料の差額は減少していきます。
もしも3年間における保険料差額の合計が20万円であれば、車両保険の適用は20万円を超える修理費用を要する場合にのみ向いています。
自損事故で車両保険を使うor使わないは”修理代による”
自損事故で車両保険を使うかどうかを判断する際には、3年間の保険料差額を試算する方法が大いに役立ちます。車の修理費用は高額になりやすいため、車両保険を使ったほうがお得になるケースは珍しくありません。
とはいえ、自損事故で生じた損害が軽微なときには、車両保険を使わないで自腹で対応したほうが良いでしょう。結局のところ、自損事故に車両保険を使うかどうかは、車の修理にどれほどの費用がかかるのかで決まります。
修理見積書を確認するときには、車両保険の使用を決断する前に自腹でカバーする方法も検討してみてください。
自損事故後に自動車保険一括見積もりを活用して保険料の節約を
保険会社との契約時に見極めが不足していれば、自損事故で車両保険を使った後でも、保険会社の乗り換えで保険料の節約を見込めます。
自動車保険を用意する保険会社は数多く、保険料が安い自動車保険には、直接保険会社と契約できる通販型の自動車保険があります。通販型の自動車保険を比較して保険料がお得なところを見つけたい場合には、自動車保険一括見積もりの活用が適しています。
自動車保険一括見積もりは基本情報を入力するだけで簡単に利用できますし、自動車保険の補償内容を見直す際にも重宝するでしょう。
自損事故後に行うべき”正しい流れと手続きポイント”
車に自損事故が発生した後には、どのような手順で車両保険の使用を行うべきなのでしょうか?自動車保険の車両保険を使う場合の正しい流れのみならず、特に注意すべき手続きのポイントを押さえておきましょう。
まずは自損事故後に警察に連絡を
自損事故でガードレールや電柱に衝突した場合には、相手がいる交通事故などと同様に警察への届け出が必要です。
公共設備への損害を無視して警察への届け出を怠ると、処罰対象になって違反点数の加算や罰金が科せられる事態につながります。自損事故を警察に連絡するときには、以下の内容を正しく伝えることが大事です。
- 自損事故を起こした場所と日時
- 損害の内容と程度
- 事故後に現場で取った措置
道路交通法にて自損事故は交通事故と定義されていますから、緊急措置と警察への報告を欠かしてはいけません。
自損事故の請求を!必要書類は『交通事故証明書』
自損事故で保険金請求を行う場合には、一般的に交通事故証明書が必要書類として含まれます。交通事故証明書は交通事故を公的に証明する書類なので、前もって自損事故を警察に届け出ていないと警察から発行を受けられません。
車両保険で保険金請求をする場合のほとんどでは、保険会社が契約者に代わって交通事故証明書を取得する流れになります。
交通事故証明書を保険会社が受け取れないと、自損事故の保険金請求はスムーズに進まない可能性が高まります。車両保険で補償を受けるためにも、自損事故を起こしたときには速やかに警察へ届け出ることを心がけましょう。
新車の場合は自損(全損)もカバーできる一般車両保険が必要
保険料の負担は増加しますが、新車の場合には、エコノミーの車両保険よりも自損や全損をカバーできる一般車両保険への加入があっています。自動車保険の一般車両保険に加入すると、以下の補償範囲が適用されます。
- 台風や洪水などの風水害
- 火災や爆発
- 落書きやいたずら
- 車同士の衝突や接触
- 飛来物との衝突
- 自転車との接触
- 車の盗難
- 電柱やガードレールなどに対する自損事故
- 当て逃げ
- 車の墜落や転覆
相手を特定できない事故や自損事故でも補償を受けられますし、新車に乗っているのなら一般車両保険が力を発揮します。また、保険会社によりますが、車両保険で新車特約という全損や半損を見据えたオプションを選べるケースも少なくありません。
新車特約を付帯すると、加入時に設定された新車価格相当額が、全損や半損の保険金になります。新車で一般車両保険と新車特約の両方を付帯すれば、自損と全損を含み事故時に幅広い対応を期待できるでしょう。
中古車は4年以降に自損なしの”エコノミー型”に下げるのもアリ
車両保険の補償金額は車の価値に応じて決まるため、年式が古い車や時価額が低い車は事故後の保険金が高くなりません。初度登録の1年目から3年目なら補償金額が相応に大きいので、補償範囲の広い一般車両保険が向いています。
その一方で、4年目以降の中古車などは全損しても保険金が少なくなりやすく、一般車両保険を選ぶメリットが限られてきます。中古車に乗っているのであれば、自損なしのエコノミー型に車両保険を下げるのも選択肢のひとつです。
まとめ
自動車保険の車両保険には、一般車両保険のほか、車対車+Aや車対車といった種類があります。一般車両保険は保険料の負担こそ大きくなりますが、補償範囲が幅広く、一般車両保険なら自損事故を起こしても補償を受けられます。
ただし、自損事故で発生した損害の補償を車両保険で行うと、3等級ダウンや事故有り割引率の適用を免れることはできません。車両保険を使用した後には保険料が増加してしまうため、自損事故で車両保険を使うときには注意してください。
自損事故を起こした場合には、車の修理代や車両保険の保険料差額を参考にしつつ、正しい手続きで保険金請求を行いましょう。