「台風で車が水没…」自然災害で車両保険が適用できる可能性は99%!
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8月から9月には台風が日本列島を通過しやすく、水没や飛来物などで車が損害を受けかねない時期になっています。近年では大雨で甚大な被害も発生していますし、台風やゲリラ豪雨の被害を心配している人も多いのではないでしょうか?
保険会社が用意する車両保険は、交通事故で受けた損害だけでなく、台風が原因となる被害も補償の対象にしている自動車保険です。
こうした車両保険で台風被害時に補償を受けられる主要なパターンのほか、損害を受ける前に把握しておきたい保険金請求の手順などを解説します。
「台風で車が水没・横転…」そんなときは車両保険でカバー
車両保険は、契約している車が交通事故や自然災害などで損害を受けた場合に補償を受けられる自動車保険です。各保険会社によって名称は異なりますが、車両保険では一般的にフルカバーやエコノミーが用意されています。
台風で受けた損害はエコノミーでも補償範囲に含まれますから、台風で起こる損害に備えたいのなら車両保険を付帯しましょう。
ただし、台風による損害を車両保険でカバーする際には、以下のデメリットやリスクも生じるので注意しなければいけません。
- 車両保険を使うと自動車保険の等級がダウンする
- 全損に該当しない場合では保険金から設定した免責金額を差し引かれる
- 台風で発生した損害に偶然性が不足していると補償を受けられない可能性がある
- 故意に事故を起こして車両保険を使えば保険金詐欺といった犯罪になる
台風で車に損害が発生すると車両保険を役立てられるものの、車両保険の使用時にはデメリットを踏まえた判断が求められます。
【大手保険16社】台風被害への車両保険対応&等級ダウン一覧
保険会社一覧 | 車両保険対応 | 等級ダウン |
---|---|---|
ソニー損害保険 | ・一般型 ・エコノミー型 |
1等級ダウン |
共栄火災海上保険 | ・一般型 ・車対車+限定A |
1等級ダウン |
東京海上日動火災保険 | ・一般条件 ・エコノミー+A |
1等級ダウン |
チューリッヒ保険 | ・ワイドカバー型 | 1等級ダウン |
セゾン自動車火災保険 | ・一般車両型 ・車対車+A |
1等級ダウン |
アクサ損害保険(アクサダイレクト) | ・一般車両 ・車対車+A |
1等級ダウン |
AIG損害保険 | ・一般車両 ・エコノミーA |
1等級ダウン |
損保ジャパン日本興亜 | ・一般条件 ・車対車・限定危険 |
1等級ダウン |
イーデザイン損害保険 | ・車両保険 ・車両保険(エコノミー) |
1等級ダウン |
日新火災海上保険 | ・一般条件 ・エコノミー |
1等級ダウン |
三井住友海上火災保険 | ・一般補償 ・10補償限定 |
1等級ダウン |
SBI損害保険 | ・一般車両 ・車対車+限定A |
1等級ダウン |
あいおいニッセイ同和損害保険 | ・一般補償 ・10補償限定 |
1等級ダウン |
セコム損害保険 | ・一般車両 ・車対車事故+限定危険 |
1等級ダウン |
楽天損害保険 | ・一般車両 ・車対車+A |
1等級ダウン |
三井ダイレクト損害保険 | ・一般タイプ ・限定タイプ |
1等級ダウン |
台風の水没による等級ダウンは「1等級」保険料への影響
自動車保険の保険料は等級によって割引率が決まり、1年間無事故で過ごせれば等級が1つ上がる仕組みになっています。等級が上がると保険料は安くなる一方で、車両保険などを使うと等級ダウンが起こるだけでなく、事故有り割引率の適用も避けられません。
等級 | 無事故の場合 | 事故有の場合 |
---|---|---|
1等級 | 約60%割増 | |
2等級 | 約30%割増 | |
3等級 | 約10%割増 | |
4等級 | 数%割引 | |
5等級 | 約10%割引 | |
6等級 | 約20%割引 | |
7等級 | 約30%割引 | 約20%割引 |
8等級 | 約40%割引 | 約20%割引 |
9等級 | 約40%割引 | 約20%割引 |
10等級 | 約45%割引 | 約20%割引 |
11等級 | 約50%割引 | 約25%割引 |
12等級 | 約50%割引 | 約30%割引 |
13等級 | 約50%割引 | 約30%割引 |
14等級 | 約50%割引 | 約30%割引 |
15等級 | 約50%割引 | 約30%割引 |
16等級 | 約50%割引 | 約40%割引 |
17等級 | 約50%割引 | 約40%割引 |
18等級 | 約50%割引 | 約40%割引 |
19等級 | 約60%割引 | 約40%割引 |
20等級 | 約60%割引 | 約40%割引 |
上記の表のとおり総じて保険の使用後には保険料が増加しますから、事故の損害が少ないケースでは自費で修理したほうが負担を軽減できる可能性があります。
とはいえ、台風など偶発的な要因で車に損害が発生した場合に車両保険を使用しても、翌年度の等級は1等級ダウンするだけで済みます。
車両保険を使うのみなら事故有り割引率の適用も1年間になりますし、事故有り割引率適用の1等級ダウンでは保険料がおよそ20%上がる程度です。
台風の暴風雨で想定される被害!自動車保険適用となる4つのパターン
台風で想定される被害は多岐にわたりますが、台風による損害で自動車保険を適用できるのは主にどのような場合なのでしょうか?
河川の氾濫で車が水没した場合や飛来物で損害を受けた場合など、自動車保険適用となる代表的なパターンを続けて確かめてみましょう。
【パターン1】河川の氾濫で車が水没(車両保険適用)
台風で河川の氾濫が起こり、車両保険に契約している車が水没したときには、車両保険で補償を受けられます。水没した車は修理しても完全には元の状態に戻せませんので、修理せずに車を手放す方法が主要な選択肢になるかもしれません。
車を修理しない場合でも車両保険の保険金は受け取れるため、保険金を活用すれば車の買い替えを目指せます。河川の氾濫で損害を受けたくないのであれば、台風情報を普段からチェックして予防策を駆使することが大切です。
【パターン2】台風で屋根瓦や看板が飛んできて傷ついた(車両保険適用)
屋根瓦や看板などが台風で飛んできて、契約している車が傷ついた場合には、車両保険の適用で保険金の支払いが行われます。台風で飛びかねないものは屋根瓦や看板以外にも幅広く、飛来物で車が損傷するケースは珍しくありません。
自ら放置していたものが自分の車や近隣の車に衝突する可能性もあり得ますから、台風が近づいてくる前の片づけに注力しましょう。車の運転時に飛来物がぶつかると危険性は高くなりますし、台風が近づいているのなら車の運転は避けたほうが無難です。
【パターン3】立体駐車場1階で駐車場ごと水没(車両保険適用)
立体駐車場は立地や使用区画に応じて水没するリスクを持ちますので、台風が近づいているときには注意が欠かせません。車両保険で契約した車が台風の被害を受けた立体駐車場ごと水没した場合には、車両保険における補償の対象となります。
水没した車の補償こそ車両保険で受けられますが、こうなった車は冠水歴が残りますし、修理もほとんど望めません。浸水した車のエンジンをかけると火災や感電の危険もありますから、レッカーで運んでもらうなど慎重な対応を心がけましょう。
【パターン4】台風で他人の車と衝突して損傷した場合(車両保険適用)
台風により車両保険に契約している車と他人の車が衝突した場合では、車両保険を使った補償を受けることができます。ただし、車両保険は自分の車に適用される自動車保険であって、他人の車に与えた損害は車両保険の補償対象に含まれません。
基本的に他人の車と衝突した際には対物賠償保険が力を発揮するものの、台風の損害は補償対象外になるので注意してください。
台風による車の衝突事故は車の持ち主に賠償責任が存在せず、賠償義務が無いことで対物賠償保険が使えない仕組みになっています。
【例外】台風などで他人の車を傷つけた場合(不可抗力)
台風などが原因となって他人の車を傷つけた場合では、不可抗力とみなされ、法律上の賠償責任を負わないケースが少なくありません。
他人に与えた損害で賠償責任を負うのは、一般的に故意や過失がある場合のほか、瑕疵で他人の車を傷つけた場合になります。台風で他人の車を傷つけても車両保険や対物賠償保険は使えませんから、賠償責任の有無をしっかり把握することが大事です。
自動車保険で付帯可能な個人賠償責任保険に加入していると、台風で賠償責任を避けられないときに利用できる可能性があります。
台風被害を証明する方法&車両保険を申請する手順
台風で車に損害が発生した場合の車両保険における保険金請求では、地方自治体が交付する罹災証明書の提出は原則不要です。
保険金の請求期限は事故発生日の翌日から3年間ありますが、事故発生にあわせて保険会社に通知をしないと台風被害は証明できません。
これは事故発生通知義務と呼ばれ、通知が遅れるとトラブルにつながりかねないので、台風被害を受けたら速やかに通知しましょう。車同士の事故や車両の修理を前提とするのなら、以下の手順で車両保険の申請は進んでいきます。
- 台風被害の事故が発生する
- 警察への届け出を行う
- 契約している保険会社に連絡する
- 事故車を修理に出して修理見積書を受け取る
- 必要書類を保険会社に提出する
- 修理が完了した車両を確認する
- 修理工場に保険金が支払われる
車両保険を契約している車を修理しない場合では、修理工場から修理見積書を受け取るときに車の修理を断る手順になります。
修理を断ったのであれば、修理見積書の提出時において、修理しない旨を保険会社に伝えることを忘れてはいけません。なお、車両保険で免責金額を設定していると、免責金額の別途支払いを要します。
車両保険の保険金請求に必要な書類一覧
車両保険の保険金請求においては、以下の書類が必要書類に該当します。
- 保険会社から送付される保険金請求書
- 車を修理に出して修理工場からもらう修理見積書
- 交通安全運転センターが発行する交通事故証明書
- 事故車両の写真
各保険会社によって保険金請求の必要書類には違いもあるため、保険会社の指示に従って手続きを進めましょう。
保険金請求書は必ず保険会社の担当者から送付されますので、自分自身で用意する手間はかかりません。手元に届いた保険金請求書の記入を済ませ、それを保険会社に送り返す流れになります。
台風被害で上がった保険料を安くするなら乗り換えがおすすめ
台風被害で車両保険を使用すると1等級ダウンが起こり、事故有り割引率適用で保険料の負担は増えてしまいます。とはいっても、保険料が高くなるのは一時的なものに過ぎませんから、自動車保険をそのまま更新するのも選択肢のひとつです。
こうした手軽さよりも保険料の負担軽減を優先したい場合には、自動車保険の乗り換えをおすすめできるでしょう。自動車保険を乗り換えても1等級ダウンは発生しますが、保険会社の保険料を比較検討すれば保険料が安い会社を探し出せます。
保険料が安い自動車保険としてよく知られているのは、直接保険会社と契約できる通販型の自動車保険です。少しでも保険料が安い通販型の自動車保険を見つけたいときには、自動車保険一括見積もりのサービスが役立ちます。
台風以外の自然災害(地震・津波・噴火など)は車両保険が適用されない
事故内容 | 対応可能か否か | 等級 |
---|---|---|
台風・火事・ひょう | 対応可能 | 1等級ダウン |
地震・噴火・津波 | 対応不可能 | 等級への影響なし |
車両保険を契約している自動車に損害が発生したとしても、以下の自然災害が原因なら車両保険の適用は見込めません。
- 地震
- 噴火
- 津波
これらの自然災害は巨大な損害を発生させかねないため、車両保険の免責事項に該当しています。フルカバーの車両保険を選んでいるからといって、あらゆる状況で補償を受けられるわけではありません。
車両保険で補償を受けられる自然災害は、台風や洪水などの風水害が中心です。風水害のタイミングで車が動かなくなっても、風水害ではなく故障が原因の可能性もあり得るので気をつけましょう。
台風被害で車両保険を使用する詐欺も存在する
保険金を目的とした車両保険の不正請求は数多く、保険会社の調査は厳しさを増しています。台風被害などで車に損害が発生した際に、実際の修理額を大幅に超える保険金を請求するのが、架空請求に分類される詐欺の手口です。
友人や知人を利用する形で自作自演の事故を起こし、車両保険の保険金を騙し取ろうとする詐欺も代表的な手口に数えられます。少額であっても保険金詐欺は犯罪ですから、保険金を請求するときには保険金詐欺を疑われることをしてはいけません。
もしも保険金詐欺を疑われてしまった場合には、自分一人で保険会社と交渉しないで弁護士に相談しましょう。
まとめ
各保険会社が取り揃える車両保険は、契約している車が交通事故や風水害で損害を受けた場合に補償を受けられる自動車保険です。
車両保険は風水害の様々な被害を補償対象に定めていますが、車両保険を使用すると1等級ダウンと事故有り割引率の適用が起こります。
保険料の負担が増えてしまうため、事故発生通知義務を速やかに果たしても、保険金請求の申請は慎重に判断しなくてはいけません。台風で発生した車の損害を車両保険でカバーしたのなら、補償内容の見直しや自動車保険一括見積もりの活用を検討してみましょう。