車両全損修理時特約の必要性は?付けるメリット・デメリット【全まとめ】
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車両保険に加入していれば、万が一の時にも補償されるので安心です。ただ車両保険はあくまで車両保険価額が上限となっているため、車によっては修理費用が車両保険価額を超えてしまうケースもあります。
超過した費用は自己負担となるわけですが、車両全損修理時特約を付帯していれば超過分を補償してくれます。車両全損修理時特約を付帯すれば、保険料も高くなるので付けたほうがいいのか悩む方もいるはずです。
ここでは車両全損修理時特約のメリット・デメリットを紹介していますので参考にしてみてください。
自動車保険『車両全損修理時特約』とは?
車両保険に加入していると、過失のある自動車事故や自損事故の場合も自分の車の修理費用が補償されます。ただし車両保険は契約している車の価値が上限となっているので、価値が低い車に乗っていると修理費用のほうが多くなることもあります。
その場合は超過した分は自分で支払わなければいけなくなります。車両全損修理時特約は修理費用が車両保険価額を超える場合、その超過分を補償してくれる特約です。
ただし、以下のようなケースでは補償されないので注意しましょう。
- 破損した車を修理する場合のみ
- 無免許や飲酒運転など違反行為による事故
- 地震や噴火、津波による損害
- 故障にともなう損害
つまり一般的な自動車事故により損害を受けた場合で、超過した修理費用を補償するというものです。ですので、買い替える時には保険金は受け取れません。
車両全損修理時特約の付帯条件は?全損ってどんな状態?
車両全損修理時特約は自動車保険に加入していれば誰でも付けられる特約というわけではありません。以下が車両全損修理時特約の付帯条件です。
- 車両保険に加入している
- 初年度登録から25ヶ月以上経過した車
全損と聞くと原形をとどめない、フレームまで損傷して修理不能なくらいの損害と思いがちです。
例えば、車両保険価額が30万円の車に乗っていて事故を起こし、修理費用が60万円かかるという場合は全損扱いとなります。この場合、車両全損修理時特約を付帯していれば、超過分の30万円を保険金として受け取ることができます。
車両全損修理時特約の保険金額は『30万円or50万円』
車両全損修理時特約に加入していれば、車両保険価額を超えた修理費用を補償してくれます。ただし、この場合も保険会社によって上限が決められており、それ以上は補償されません。一般的な保険会社の保険金額の上限は以下の通りです。
- 30万円
- 50万円
車両保険価額が20万円で修理費用が60万円かかるとしてシミュレーションしてみます。
補償限度額が30万円の車両全損修理時特約に加入 | 60万円-20万円-30万円で残りの10万円は自己負担 |
---|---|
補償限度額が50万円の車両全損修理時特約に加入 | 超過した修理費用40万円まで補償で自己負担なし |
超過した修理費用しか保険金として受け取れないので、このケースでは限度額の50万円が受け取れるわけではありません。
【大手保険会社16社】車両全損修理時特約の補償限度額比較《一覧表》
保険会社 | 特約の有無 | 補償限度額 |
---|---|---|
ソニー損害保険 | ○ | 保険金額の10%(上限20万円) |
共栄火災海上保険 | ○ | 保険金額の10%(上限20万円) |
東京海上日動火災保険 | ○ | 保険金額の10% (上限20万円、下限5万円) |
チューリッヒ保険 | 不明 | 不明 |
セゾン自動車火災保険 | ○ | 50万円が限度額 |
アクサ損害保険(アクサダイレクト) | ○ | 保険金額の5%(上限10万円) |
AIG損害保険 | ○ | 保険金額の15% |
損保ジャパン日本興亜 | ○ | 50万円が限度額 |
イーデザイン損害保険 | ○ | 保険金額の10%(上限20万円) |
日新火災海上保険 | ○ | 50万円が限度額 |
三井住友海上火災保険 | ○ | 保険金額の10%(上限20万円) 100万円を下回る場合は10万円 |
SBI損害保険 | ○ | 保険金額の10%(上限20万円) |
あいおいニッセイ同和損害保険 | ○ | 保険金額の10% (上限20万円、下限10万円) |
セコム損害保険 | ○ | 不明 |
楽天損害保険 | ○ | 保険金額の10%(上限20万円) |
三井ダイレクト損害保険 | ○ | 保険金額の10%(上限20万円) |
車両全損修理時特約の必要か?メリット・デメリットまとめ
車両全損修理時特約を付ければ当然保険料は高くなってしまいます。そのため加入する必要があるかどうかは判断が分かれるところです。まずは車両全損修理時特約のメリット・デメリットを確認して検討してみるといいでしょう。
【メリット】十分な補償と万が一に備えられる
車両保険に加入していれば事故を起こしても安心と思いがちですが、あくまで車両保険価額までしか補償されないため、年式が古い車に乗っている方は十分な補償とはいえません。同クラスの車に買い替えるだけの保険金は得られないでしょう。
かといって、修理するとしても車両保険価額を超過した分は自己負担になります。車も買い替えできない、修理もできないという状況になることもあるでしょう。
車両全損修理時特約のメリットはそんな時にも自己負担なしで修理できるので万が一に備えられます。
【デメリット1】超過した修理費用の全額が補償されるとは限らない
車両全損修理時特約のデメリットは、超過した修理費用の全額が補償されるとは限らないという点です。保険会社によって補償される金額に上限が設けられており、修理費用がさらにその限度額を超えてしまう場合には自己負担となります。
事故の程度によって車の修理費用は大きく変わります。特に年式が古い車だと車両保険価額が10万円程度なんてこともあるでしょう。そうなると車両全損修理時特約を付帯していても修理費用が足りないこともあります。
【デメリット2】車を買い替えする時には補償されない
車両保険価額にもよりますが、それを超える修理費用が必要になる事故だと車もかなりの損害を受けています。
そのため事故を機に買い替えを検討する方も少なくありません。ただ車両全損修理時特約は修理することが条件なので、買い替え時には補償されないのです。
例えば車両保険価額が10万円で修理費用が60万円という場合、50万円上限の車両全損修理時特約に加入していれば自己負担なしで修理できます。ですが買い替えする場合、補償される金額は車両保険価額が10万円のみです。
車両全損修理時特約の必要性をシミュレーションから解明
車両全損修理時特約について説明をしてきましたが、本当に必要なのか疑問に思うでしょう。説明だけだとわかりづらいと思うので、実際にシミュレーションをしてみて考えましょう。条件は以下のとおりとします。
- 5年落ちのノートの車両保険金額が40万円
- 走行中の不注意によってガードレールに衝突
- 修理費が全部で70万円
- 車両保険が40万円のため30万円不足
上記の条件でシミュレーションをした場合自己負担額は30万円となります。しかし車両全損修理時特約を使うことで30万円の差額を減らすことができます。自損事故を起こしたことのある方はつけておいたほうが良い特約だといえるでしょう。
廃車時や車両購入時の手続きや費用の平均相場一覧表
廃車の平均相場 | レッカー費用 | 5,000円~10,000円 |
---|---|---|
解体費用 | 5,000円~10,000円 | |
永久抹消登録 | 3,000円~5,000円 | |
買い替えの平均相場 | 税金 | 地域や車種、会社によって変わる |
登録費用 | 地域や車種、会社によって変わる | |
車庫証明の費用 | 地域や車種、会社によって変わる | |
合計費用 | 中古車:10万円前後 | |
新車:購入価格の15%~20% |
まとめ
車両全損修理時特約が必要かどうかは、契約者の考え方によって異なります。一般的に車両全損修理時特約が必要になるほどの損害になると、それを機に車を買い替える方が多いです。そのため付帯していても使わなかったというケースも少なくありません。
ただ買い替えしても車両保険価額しか受け取れないのですから、金銭的に余裕がなくてまだ当分車に乗り続けるという方もいるはずです。また愛着のある車なので乗り続けたい方もいるでしょう。そんな方にはおすすめの特約です。