任意保険『無保険車傷害保険』とは?メリット・デメリット徹底解説!
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車を運転している方は万が一に備えて、十分な補償のある任意保険に加入しておくべきです。ただ、任意保険はあくまで任意であり強制ではありません。そのため、最近は加入しない人が増えているようです。
未加入の方が事故を起こしたとしても、自賠責保険には加入しているので補償はされます。ただしその補償額は死亡時で3,000万円、後遺障害の場合は程度に応じて75万円~4,000万円ですから、決して十分な補償とはいえません。
万が一任意保険に未加入の車と事故を起こした場合、十分な補償がされない事が多いです。そんなケースに対応できるのが無保険車傷害保険です。
これは任意保険に自動付帯されている事が多いですが、万が一の備えとして、内容をよく知っておきましょう。
- 加害者が負担すべき損害賠償額を補える
- 損害賠償はあくまで人に対しての補償のみ
- 死亡または後遺障害を負った場合のみ補償対象で”怪我は対象外”
- 車を運転中だけでなく、歩行や自転車運転中でも適用になる保険もある
- 使っても等級はダウンしない
本文ではポイントの詳細のほか、補償の対象者や補償限度額などについても解説しています。
そもそも『無保険車』とはどういう意味?任意保険に加入していない車
無保険車とはその名の通り保険をかけられていない車です。とはいうものの、実際は車検の際に必ず自賠責保険に加入する事になっているので、車検を通している方は自賠責保険に加入している事になります。
ですが、無保険車とは自賠責保険ではなく、任意保険に加入していない車の事を指します。
対人賠償保険に入っていても適用外となってしまうケースや、ひき逃げなどにより相手が特定できない場合なども含まれます。
実際に任意保険に加入していない方は全体の15%いると言われていますし、年々増えてきているそうです。ですので、事故を起こした相手が無保険車だった、ということも実際にあり得ない話ではありません。
無保険車傷害保険とは?いくつか種類が存在する
無保険車傷害保険とは、事故を起こした相手が対人賠償保険に未加入だった場合や加入していても補償額に満たなかった場合などに、加害者が負担すべき損害賠償額の不足分を自分の保険から補えるというものです。
その特徴をまとめてみました。
- 加害者が負担すべき損害賠償額を補える
- 損害賠償はあくまで人に対しての補償で車に対しては補償されない
- 死亡または後遺障害を負った場合のみ補償対象で怪我は対象外
- 補償額は自分が契約中の対人賠償保険と同じ(※無制限は上限2億円になる場合も)
- 車を運転中だけでなく歩行や自転車運転中でも適用になる保険もある
- 使っても等級はダウンしない
このように、無保険車傷害保険は万が一相手が無保険車だった場合にも対応できる保険になります。
相手が悪いのに何で自分の保険で補わなければいけないのか、と思うでしょうが実際にそういうケースもあるので仕方ありません。
またあくまで補償されるのは死亡または後遺障害を負った場合だけで、怪我の治療費や通院費や破損した車の修理費は補償されませんので、しっかりと内容を確認しておきましょう。
無保険車傷害保険は『2種類』存在する
無保険車傷害保険にも契約内容によって、種類が2通りあります。
- 1.被保険自動車に乗っている時に起こった事故を補償
- 2.上記に加えて歩行中や自転車に乗っている時に起こった事故も補償
無保険車傷害保険は被保険自動車に乗っていた時に無保険車と事故を起こした時に補償されるのはもちろんですが、運転していない時に起きた場合にも補償されるものもあります。
無保険車傷害保険は死亡や後遺障害の場合にのみ適用され、怪我では補償されません。車を運転中も死亡や後遺障害が残ってしまうこともありますが、実際は後遺障害が残らない程度の怪我で済んでしまうことが多いです。
逆に2.の歩行中や自転車運転中に無保険車との事故は死亡や後遺障害になりやすいので、できるならこちらの契約の方が無難です。
無保険車傷害保険の補償対象者と適用範囲
無保険車傷害保険の補償対象者となるのは、以下の5つの条件を満たしている方です。
- 記名被保険者
- 記名被保険者の配偶者
- 被保険者と配偶者と同居の親族
- 被保険者と配偶者の別居の未婚の子供
- 契約車両に同乗していた他人
例えば、別居していた子供は対象になりますが、結婚をして別居のままなら対象外になってしまいます。また離婚して出戻りすれば対象になりますが、離婚しても実家に戻らなければ対象外です。
また複雑になってくるのが二世帯住宅の場合です。一つの建物内での二世帯なら同居の親族ですので対象になりますが、同じ敷地でも別の建物だと別居ということになり、対象外です。
適用範囲としては無保険車傷害保険を契約している車両に乗っていた場合は、当然適用になります。また上記のうち他人以外は、契約車両以外の車に乗っていて無保険車と事故を起こした場合にも適用されます。
無保険車傷害保険の対象となる『4つの場面』
無保険車傷害保険の対象となる場面は4つあります。
つまり任意保険に加入していないのはもちろんの事、加入していても適用されない、十分ではない場合には無保険車傷害保険の対象になります。
また損害賠償を請求できる相手がいない場合も適用されます。これらのケースについて詳しく説明していきましょう。
1.事故相手が無保険車だった場合
事故を起こした相手が無保険車だった場合、本来ならその賠償は自賠責保険からの補償を受ける事が出来ます。そのため、軽い怪我で済む程度なら自賠責保険でも十分かもしれません。ですが、実際はそれ以上の被害になる事も考えられます。
いくらスピードが出ていない事故でも、打ちどころが悪ければ亡くなってしまうこともありますし、後遺障害を負うこともあるでしょう。自賠責保険は死亡で3,000万円、後遺障害で75万円~4,000万円までの補償しかありません。
それでは十分な補償とは言えないでしょう。この場合に無保険車傷害保険の対象となり、不足している賠償額が補償されます。
2.事故相手(加害者)の任意保険が適用されないパターン
事故を起こした相手が仮に任意保険に加入していたとしても、条件によってはそれが適用にならないケースもあります。任意保険を契約する際、少しでも保険料を安くするため運転者限定条件や年齢条件を設定するものです。
本人しか乗らない場合は本人限定、家族しか乗らない場合は家族限定をするでしょう。また乗る人の年齢に合わせた年齢条件も設定するでしょう。もしその条件が適用にならない人が運転していたなら、任意保険から補償される事はありません。
よくあるのが子供が運転免許を取得して車に乗り始めた時です。保険内容の変更をせずに夫婦限定で35歳以上のままなら、子供が事故を起こしたら適用になりません。
保険の更新の時期になればおそらく見直すでしょうが、その前だとこういうケースも十分あり得ます。そういうケースでも無保険車傷害保険は対象になります。
3.事故相手の対人賠償保険の保険金額が少ない場合
約15%の人が無保険車と言われていますが、仮に事故を起こした相手が対人賠償保険に加入していたとしても十分な補償が得られるとは限りません。それは対人賠償の限度額を設定している方です。
おそらく補償額は5,000万円もあれば十分、1億あれば足りるだろうという考えからでしょう。ですが、実際は1億円を超す高額賠償命令が下される事も十分にあります。そうなると対人賠償保険の補償額では足りないというケースもあります。
そんな時も無保険車傷害保険の対象となり、不足分を補償出来ます。稀とはいえあり得ない事例ではありません。
4.ひき逃げ・当て逃げに遭遇した場合
一般的に相手に重大な過失がある事故を起こした場合、賠償金は相手側の任意保険から支払われます。ですが場合によってはひき逃げや当て逃げに遭ってしまうこともあります。事故を起こすと逃げてしまいたくなる気持ちもわからないではありません。
特に任意保険に加入していない人は支払い能力がないので、ついつい逃げてしまうでしょう。警察でもひき逃げ犯を探してくれますが、見つからない事も考えられます。
この場合、相手がわからないわけですから損害賠償を請求することもできません。無保険車傷害保険はこういうケースでも問題なく補償を受けれます。
ちなみにひき逃げや当て逃げの無保険車の場合は政府保障事業より補償を受ける事が出来ます。しかし、あくまで自賠責保険の限度額までの補償ですから十分ではありません。この補償で安心するのは注意が必要です。
無保険車傷害保険はいくら貰える?保証金額の限度額と計算方法
事故を起こした相手から十分な賠償金を得られない時、自身が加入している無保険車傷害保険から保証金を受けとれます。
ただ、補償の限度額は保険会社や契約内容によって違い、大きく分けて3つになります。
- 加入している対人賠償保険の保険金額と同額
- 2億円
- 無制限
3つとはいうものの対人賠償保険の保険金額は無制限としている人がほとんどですから、実質は2億円もしくは無制限ということになるでしょう。
賠償金額が2億円を超える事は稀です。ですが、その可能性も十分考えられ、実際に5億を超える事例もあります。
もし2億円の保証金額では不安だという方は補償限度額が無制限の保険会社を選ぶか、対人賠償保険の保険金額と同額の保険会社を選んで対人賠償保険を無制限にするといいでしょう。
多くの保険会社は保証金額を”無制限”に設定している
相手から賠償金を支払われないようなケースでは、無保険車傷害保険から支払われることになりますがその保証金額が気になるところです。
実際のところ、無保険車傷害保険の保証金額の上限を設定している保険会社は2億円としているところが多いです。
これは一般的な事故では2億円あれば、損害賠償金を支払えるからということでしょう。ただし実際は2億円を超える賠償金になることもあり、最高額は5億円を超えています。そのため最近では多くの保険会社が補償を無制限にしているようです。
ただ、無担保車傷害保険はあくまで自分自身の損害賠償をおこなうものです。そのため自分が死亡した後遺障害を負った時に、2億円を超える賠償を得られるかどうかはある程度わかるものです。それによって判断してもいいでしょう。
無保険車傷害保険金額が無制限の大手損保一覧
保険会社 | 補償限度額 | 付帯条件 |
---|---|---|
ソニー損保 | 無制限 | 自動付帯 |
セゾン自動車 | 無制限 | 自動付帯 |
損保ジャパン | 無制限 | 自動付帯 |
三井住友海上 | 2億円 | 自動付帯 |
チューリッヒ | 2億円 | 自動付帯 |
アクサダイレクト | 2億円 | 自動付帯 |
イーデザイン損保 | 2億円 | 自動付帯 |
三井ダイレクト | 2億円 | 自動付帯 |
SBI損保 | 2億円 | 自動付帯 |
共栄火災 | 2億円 | 自動付帯 |
東京海上日動 | 2億円 | 自動付帯 |
無保険車傷害保険は必要なのか?メリット・デメリットからわかる必要性
どのような保険でも万が一に備えておくものであり、本来ならすべての保険に加入していくのがいいでしょう。
ただしその分保険料が高くなるというデメリットもあります。そして保険料を安く押さえれば補償されない部分も出てきます。無保険車傷害保険にもいろいろなメリットやデメリットがあります。
今はほとんどの保険会社で無保険車傷害保険は任意保険の自動付帯となっているので気にならないでしょう。ただそれでもメリットやデメリットは事前に知っておいた方がいいでしょう。
無保険車傷害保険に加入するメリット
事故の相手が万が一、無保険車もしくは任意保険が適用にならないケースなどでも補償される点でしょう。自分の保険で補償するのもおかしな話ですが、実際にはこういうケースがあるので加入していれば安心です。
また、保険を使用しても等級がダウンしないという点です。任意保険は一度使うと1等級もしくは3等級ダウンしてしまいます。仮に3等級ダウンすると元の等級に戻るまで3年かかり、保険料は3年で10万円前後多くなります。
無保険車傷害保険は等級ダウンがないので、費用を気にせず使うことが出来ます。とはいえ死亡もしくは後遺障害が残る場合のみの適用です。そういう状況なら等級のダウンどころの話ではなくなるでしょう。
無保険車傷害保険に加入するデメリット
無保険車傷害保険のデメリットは、加入すればその分保険料が高くなってしまう点です。車を運転するすべての人が任意保険に加入していれば、本来は入る必要がない保険です。
そんな他人のせいでなぜ自分が無保険車傷害保険に加入しなければいけないのか、という憤りもあるでしょう。
しかし、自動付帯となっているところがほとんどです。そのため特約などのように保険料が高くなる事はありません。保険を使っても等級が下がる事もないのでほとんどリスクはないでしょう。ただそれでも憤りは残るかもしれません。
無保険車傷害保険は、怪我の場合は適用になりません。少々の額なら相手が支払ってくれるかもしれませんが、それでトラブルになる事も考えられますので注意してください。
無保険車傷害保険が支払われないケース
事故を起こした相手が無保険車や賠償額が足りなかった場合、もしくはひき逃げなどで相手がわからない場合などに無保険車傷害保険が適応されます。
ですが、この場合でも保険金が支払われないケースもありますので確認してみましょう。
- 無免許運転、飲酒・酒気帯び運転などの場合
- 台風や洪水、高潮や津波などによって生じたもの
- 被保険者の父母や配偶者、子供などが賠償義務者の場合
この他にも自殺や犯罪行為などによって引き起こされた場合も支払われません。また、被保険者側が100%過失がある場合にも支払われませんが、この場合はそもそも相手の保険は関係がありません。
つまり安全運転をしている場合、そして詐欺の疑いがない場合など、正当な理由であれば無保険車傷害保険は適用になるというわけです。
無保険車傷害保険と人身傷害保険の違い
任意保険の中には人身傷害保険もあります。これは事故に遭った場合に自分や家族の怪我を補償してくれる保険になります。
人身傷害保険は相手が無保険車であろうと関係なく損害を補償してくれます。そのため、無保険者傷害保険も同じような保険と思われがちです。
無保険車傷害保険は怪我では適用外ですが、人身傷害保険は補償されます。また過失の有無を問わずに補償されるのも人身傷害保険の特徴です。となると無保険者傷害保険は不要と思うかもしれません。
ですが、たいていは人身傷害保険では補えない部分を無保険者傷害保険がカバーするものとなります。特に損害額が大きくなると人身傷害保険では足りないケースも出てくるのです。そういった関係性があるので細かく確認してみましょう。
まとめ
本来自動車を運転する方は、万が一の時に備え相手に十分な補償が出来る程度の任意保険に加入しておきましょう。
多くの人はそうしていますが、加入していない人も年々増えているとも言われています。そのため、無保険車と事故を起こしてしまうケースも十分考えられます。
保険の適用になるのは死亡または後遺障害を負った時のみで、それ以外は補償されません。また車の修理代も補償されないのです。
また補償内容も保険会社によって異なるので、車両保険や人身傷害保険なども確認しながら自分にとって最適な保険にしましょう。