100%ではない!?全国・都道府県別に自動車保険の加入率を徹底解説
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自動車を運転している人は、強制保険である自賠責保険に加入しています。自賠責保険はもしものことがあった際に最低限の補償をすることを目的とした保険ですので、用心深い人は各々で任意の保険にも入っているでしょう。
実際にはどのくらいの運転手が任意の保険に加入しているのでしょうか?全国都道府県別で見てみると対人賠償保険、対物賠償保険の両者共に加入率が一番低いのが沖縄県で53.5%です。ほかにも宮城県、高知県、島根県は50%台になっています。
反対に高い加入率を持つのが大阪府と愛知県、神奈川県です。約80%の運転手が加入しています。ほかにも加入率の差がありますが、ひとまずは対人賠償保険と対物賠償保険について抑え、各都道府県民の保険に対する危機管理意識を知っておきましょう。
全国の自動車保険(任意保険)加入率
全国の任意保険加入率は、どのようになっているのでしょうか?不幸にも交通事故の被害者になってしまった場合、相手側も被害者側も任意保険に加入しているかどうかが、重要になるでしょう。
加入しない人は自分の運転に絶対的な自信を持っていたり、保険料が高く入りたくないと考えているのかもしれません。実際に保険に加入していない人も少なくありません。それでは全国の任意保険加入割合を紹介します。
対人賠償保険(2011年~2017年)加入率の推移
任意保険には大きく分けて4種類の保険があります。ここでは対人賠償保険について見ていきましょう。人に損害を負わせてしまったときの賠償額を補償するものです。
人に損害を負わせてしまうと後遺障害が残ってしまったり、最悪の場合死亡事故につながる恐れもあります。そのため損害賠償額が1億円を超過することも考えられます。その大きな支払いに備えるために、補償額は一般的に無制限になっています。
つまり起こり得る損害が多いほど保険に加入しようと考えます。推移を見てみると2011年から2017年までの間でさほど変化はなく、加入率73%程度から74%台へと徐々に増加しています。
対物賠償保険(2011年~2017年)加入率の推移
4種類ある保険のうち対人賠償保険と同じように高い加入率を誇るのが、対物賠償保険です。自動車事故により他人の財産に損害があった際に、その損害賠償を補うために保険金が支払われます。
対物賠償保険は一般的に無制限か、1000~5000万円というように選択できます。もちろん金額が高ければ高いほど支払う保険料は高くなるので、1000程度で抑えようと考える人もいます。
全国での加入率の推移を見てみると、対人賠償保険とさほど変わらず73%から74%台に微増している傾向にあります。
人身傷害保険(2011年~2017年)加入率の推移
任意保険に入る場合、対人賠償保険と対物賠償保険が一般的なものになりがちですが、人身傷害保険に加入する人も増えています。人身傷害保険は自動車事故によって車に搭乗している人が死傷したときなどに補償する保険です。
大きな特徴としては、過失割合にかかわらず休暇補償や治療費が受けられる点でしょう。死亡や障害を前提としているため保険金額は無制限、1億円が基本ですが3000~8000万円が選択できます。
そういった様々なメリットゆえに、人身傷害保険の推移を見てみると67%程度から70%台まで徐々に上昇傾向にあります。単独事故や当て逃げも補償されるため、余裕がある人は加入して損はないでしょう。
搭乗者傷害保険(2011年~2017年)加入率の推移
搭乗者傷害保険はドライバーを守るための保険で、任意保険に自動的についてくるタイプの保険です。人身傷害保険に加入している場合は自動で加入する状態を外すことができます。
さらに契約車に乗っているときの死亡や怪我を補償する特徴があり、搭乗者全員が保証されるのに加えて単独事故も補償されます。また人身傷害保険と比較すると、搭乗者保険の方が補償範囲や補償額が小さい傾向にあります。
搭乗者傷害保険の全国加入率の推移を見てみると、約45%から25%近くまで年々減少しています。約70%台をキープしていた先の3種類に比べかなり低加入率です。
車両保険(2011年~2017年)加入率の推移
車両保険は交通事故などで自分の所有している車が損害を受けたときに、それを補うため支払われる保険です。過失割合によっては保証してもらえないこともあり、また単独事故の場合は車両保険に入っていないと保険金を受け取れません。
車両保険の保険料は車の価値によって変化しますが、事故率の高い車は保険料も高額になります。車両保険の補償範囲は以下の通りです。
- 自損事故を起こした
- 車同士の事故によって損害を受けた
- 車に何らかの事情で傷をつけられた
- 飛んできたタイヤがぶつかった
- 車が盗難にあった
このような被害、損害を被った場合に保険金が補償されます。車両保険の推移を見てみると平均43%前後をキープしています。新車は車両保険に入ることがセオリーとされていますが、中古車が主流になった今加入率が大幅に増加することはないでしょう。
保険に加入しない無保険車がある現状
こうした任意保険は何度も言いますが加入義務がありません。任意保険の加入の是非は、ドライバーの判断に委ねられます。強制的に加入させられる自賠責保険と違い、その自賠責保険で足りない分を補うのが任意保険です。
2015年度のデータでは全国の任意保険加入率は74%あり、反対に任意保険未加入者の割合は25%以上にもなります。任意保険に未加入の人全てが、億単位の損害賠償を自腹で払えるという事は無いでしょう。
多額の車の購入費用や月々の支払いが負担になり、経済的に任意保険に加入できない人もいるのかもしれません。もし事故の被害者になってしまい自身が任意保険に加入している場合でも、相手が保険に加入していなければ十分な補償を得ることはできません。
もし無保険車に轢かれた場合の対処法
交通事故の被害者になった場合、通常は相手の加入している自賠責保険と任意保険から支払われることになります。
こういったケースでは加害者がどのような人物であろうと、保険会社から保険金の受取りが可能ですので、相手の支払い能力や経済力を気にする必要がありません。
ですが加害者側が任意保険に加入していない場合は別です。この場合、相手の保険会社から保険金の支払いを受け取ることはできません。よって相手加害者が保険未加入ならば、泣き寝入りしかないと一般的に言われています。
加害者が自賠責保険のみ加入状態であるとき、保険金の支払いも基本的に自賠責保険の補償範囲内の金額となるので、加害者個人では余剰分を払いきれず泣き寝入りになるケースがほとんどです。
回避するためには自分の保険会社から支払ってもらうしかありません。
それを可能にするのが人身傷害保険です。人身傷害保険は被保険者が車の事故で傷害を受けたとき、保険会社から実損の補填という形で保険金が支払われる仕組みです。
対象者は被保険者のみならず契約車両に搭乗している人も含まれているため、補償範囲も広いという大きな利点があります。
任意保険加入率の推移
では加入率の推移について見てみましょう。ここでの任意保険加入率は対人賠償保険の加入率を参考にして考えます。任意保険の加入率は、やはり約70%から75%台へと微かに増加しています。
任意保険の加入率が上がっているという事は、任意保険の未加入率を下げることに当たり前ではありますがつながっています。10年間の間ではほとんどの任意保険で変化はありませんでしたが、一つだけ大きな変化がある任意保険があります。
それが搭乗者傷害保険です。搭乗者傷害保険だけは加入率が一気に急下降しており、約10年間で半減しています。この理由は先述した人身傷害保険に加入する人が増加したからです。
人身傷害保険は搭乗者傷害保険に比べ、より広い範囲を補償できる保険なので加入率は増加しています。
搭乗者傷害保険の加入率は年々下降中
保険に加入することは有事の際に備えるという意味で、非常に意味があります。しかし任意保険だからと言って、なんでも加入すればよいという事ではありません。
保険は様々なものが出てくるので、補償が他に比べて劣っているとすぐに加入率は下がってしまいます。
いざという時に十分な補償を受けられない恐れもあるでしょう。その一例が搭乗者障害保険です。ここまで度々説明してきましたが、任意保険の中でここまで加入率が劇的な変化をしているものは稀です。
それでも尚加入率が減少しているのは、やはり人身傷害保険の影響と言わざるを得ないでしょう。人身傷害保険において怪我をした場合、実費を全額補償してくれます。しかし搭乗者傷害保険では、部位や症状別に決まった額しか支払いされません。
人身傷害保険の方が必ずしも高額を受け取れるというわけではありませんが、こういった融通の利かなさが搭乗者傷害保険加入率に影響しています。
都道府県別!任意保険加入率ランキング
任意保険加入率は年々増加の傾向にあります。やはり近年の交通事故の増加が原因と言えるでしょう。高齢者によるアクセルとブレーキの踏み間違えや逆走問題、近年増加しているあおり運転による死亡事故など、年々交通事故による問題は顕在化しています。
メディアの影響もありますが、交通事故の保険に対する意識はかなり高まっているでしょう。危険は身近に潜んでおり、またどのタイミングでトラブルに巻き込まれるかわかりません。そこで都道府県別の任意保険加入率を見てみましょう。
周りの人がどの程度危機感を持っているかの目安と参考にしましょう。
任意保険 加入率トップ5
任意保険に加入している都道府県民の割合が一番多いのはどこなのでしょうか?一位から順に見てみましょう。
富山県 | 91.8% |
---|---|
香川県 | 91.3% |
愛知県 | 91.1% |
島根県 | 90.9% |
石川県 | 90.9% |
これが任意保険加入率の上位5県になります。傾向として読み取れるのは、郊外の都道府県の方が加入率は高いという事です。加入率の基準は対人賠償保険を用いていますが、それだけ危機意識が高いのでしょう。
地方に住んでいる方が都市部よりも交通事故に対する備え、危機管理意識が高いという事が分かります。しかし忘れてはいけないのが、一番加入率が高い富山県でさえ任意保険加入率91.8%にとどまっているという事実です。
つまり加入率が高い都道府県でも、10台に1台の割合で保険に入っていません。
任意保険 加入率ワースト5
続いて任意保険に加入していない都道府県の下位5番を見てみましょう。
沖縄県 | 76.8% |
---|---|
鹿児島県 | 81.4% |
山梨県 | 83.2% |
宮崎県 | 83.2% |
茨城県 | 84.1% |
上から加入率が低い順番になっています。加入率が低いのも都市部を除く郊外の都道府県になっています。これは加入率が高い上位5番と同じような特徴です。中でも加入率が低い都道府県は、九州地方や沖縄地方によく見られます。
九州地方ではランクインした県以外に、大分県で84.8%や福岡県で86.3%などの県が九州地方です。ここで誤解を招かないようにしたいのですが、加入率の高さや低さと交通事故の件数は比例しません。
例えば沖縄県が最も交通事故が少ないかというと、そういうわけではないのです。あくまでどの程度危機管理意識を持っているかという指標に過ぎないので、注意しましょう。
沖縄県の加入率が低い理由
任意保険加入率のワースト1位である沖縄は、2位の鹿児島県に比べて約4%も差があります。なぜ沖縄県の保険加入率は、ほかの県よりも特に低くなるのでしょうか?それは、沖縄県の自動車保険に加入するときの保険料が特に安いからです。
どれだけ沖縄の自動車保険は安くなっているのでしょうか?保険料の最も低い都道府県を見てみましょう。
沖縄県 | 38,770円 |
---|---|
岩手県 | 41,346円 |
島根県 | 42,368円 |
やはり差をつけて保険料が安く、最も高い愛知県と比べると差額は15,000円にもなります。ではなぜ沖縄県の保険料は安いのでしょうか?その理由については様々な説があります。
沖縄県は雪国などと異なり路面凍結や雪に起因する交通事故が起こりにくく、東京や愛知などと比べると人口に対し公道を走る車が少ないため、交通事故のリスクが低くなっています。
また地域の繋がりが強く事故になっても当事者同士で解決していることが多いため、保険金をあまり必要としません。このことから保険料が低く、また保険に加入する人も他の都道府県に比べて低いのです。
任意保険の加入率の高低は事故件数との関係性
再度確認となりますが、任意保険の加入率と交通事故の件数に関係はありません。事故件数が多いから任意保険の加入率が高い、また事故件数が低いから任意保険の加入率が低いという事はないといっていいでしょう。
確かに都道府県毎の任意保険加入率の原因が、その都道府県の交通事故の件数にあるというのであれば納得できます。しかし実際に富山県の事故の件数は全国で29位であり、沖縄県の事故件数の順位も23位とどちらとも言えないような順位です。
【都道府県別】任意保険加入率一覧
都道府県 | 対人賠償保険(%) | 対物賠償保険(%) | 車両保険(%) | 人身障害保険(%) |
---|---|---|---|---|
北海道 | 71.1 | 71.4 | 46.7 | 66.6 |
青森 | 70.2 | 70.4 | 40.8 | 65.4 |
岩手 | 64.3 | 64.3 | 36.3 | 60.1 |
宮城 | 74.1 | 74.1 | 42.3 | 68.7 |
秋田 | 60.6 | 60.8 | 36.9 | 56.7 |
山形 | 65.6 | 65.7 | 41.7 | 61.7 |
福島 | 67.6 | 67.7 | 39.2 | 63.6 |
茨城 | 74.4 | 74.4 | 39.8 | 69.8 |
栃木 | 72.6 | 72.6 | 38.4 | 68.0 |
群馬 | 72.1 | 72.1 | 41.0 | 67.5 |
埼玉 | 78.5 | 78.5 | 43.1 | 72.6 |
千葉 | 79.2 | 79.2 | 47.4 | 73.7 |
東京 | 78.0 | 78.3 | 44.5 | 69.5 |
神奈川 | 79.9 | 80.1 | 45.4 | 72.7 |
新潟 | 69.9 | 70.2 | 37.1 | 64.7 |
富山 | 73.0 | 73.0 | 45.0 | 67.7 |
石川 | 73.1 | 73.1 | 40.1 | 67.7 |
福井 | 73.0 | 73.0 | 43.4 | 68.1 |
山梨 | 63.8 | 63.8 | 29.7 | 59.2 |
長野 | 66.0 | 66.2 | 36.5 | 61.9 |
岐阜 | 77.9 | 77.8 | 56.6 | 73.8 |
静岡 | 76.4 | 76.4 | 45.0 | 70.7 |
愛知 | 81.7 | 81.7 | 57.6 | 76.5 |
三重 | 77.0 | 77.0 | 48.5 | 72.3 |
滋賀 | 75.0 | 75.0 | 44.3 | 70.2 |
京都 | 79.8 | 79.8 | 46.0 | 72.5 |
大阪 | 82.6 | 82.7 | 49.4 | 75.0 |
兵庫 | 78.7 | 78.8 | 45.2 | 72.4 |
奈良 | 79.6 | 79.5 | 45.3 | 74.5 |
和歌山 | 74.7 | 74.6 | 35.4 | 68.4 |
鳥取 | 66.6 | 66.6 | 45.5 | 62.6 |
島根 | 57.8 | 57.8 | 35.1 | 53.5 |
岡山 | 74.7 | 74.7 | 43.0 | 69.0 |
広島 | 76.6 | 76.7 | 42.6 | 69.8 |
山口 | 72.4 | 72.4 | 46.2 | 67.1 |
徳島 | 73.0 | 73.0 | 40.4 | 67.7 |
香川 | 76.0 | 76.0 | 42.1 | 70.0 |
愛媛 | 71.4 | 71.3 | 37.9 | 65.7 |
高知 | 59.5 | 59.3 | 30.2 | 54.3 |
福岡 | 76.8 | 76.8 | 47.7 | 70.7 |
佐賀 | 67.0 | 67.0 | 38.2 | 62.1 |
長崎 | 67.2 | 67.1 | 37.3 | 61.5 |
熊本 | 67.0 | 67.0 | 42.4 | 62.5 |
大分 | 66.5 | 66.4 | 38.3 | 61.1 |
宮崎 | 59.7 | 59.7 | 34.9 | 55.2 |
鹿児島 | 60.9 | 60.7 | 32.8 | 55.8 |
沖縄 | 53.8 | 53.8 | 26.9 | 49.6 |
全国計 | 74.3 | 74.4 | 43.8 | 68.7 |
※日本損害保険協会「自動車保険 都道府県別加入率」を参考に作成
まとめ
自動車の保険には必ず加入しなくてはならない自賠責保険と、加入を個人の意思に委ねた任意保険があります。任意保険には様々な種類があります。
- 対人賠償保険
- 対物賠償保険
- 人身賠償保険
- 搭乗者賠償保険
- 車両保険
こういった保険はすべて任意保険で、ほぼすべての加入率が上昇傾向にあります。しかし保険に加入していない無保険車もあり、その場合の保険金は自賠責保険からの最低額になるので被害者は泣き寝入りせざるを得ません。
そこで対処として加入しておきたいのが、人身傷害保険などの補償の範囲が広い保険です。各都道府県で見ても10台に1台以上は無保険車が存在しますし、保険加入率が低いからと言って事故率が低いわけではなく常に交通事故の危険は身近にあります。
住んでいる都道府県の保険加入率や事故件数に惑わされず、万が一に考え保険を比較し備えることが肝心です。