フリート契約とは?等級・割引率の計算方法からデメリットまで解説!
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自動車に乗車中のリスクを補うために欠かせない自動車保険ですが、この契約には大きく分けて2つの契約方法があります。それがフリート契約とノンフリート契約です。
どこかで聞いたことのある方もいるでしょう。しかしその内容を詳しく知っている方は、そう多くはないでしょう。ではフリート契約とノンフリート契約とは、いったい何なのでしょうか?
ここではフリート契約について詳しく見ていき、その過程でノンフリート契約についても紹介します。
フリート契約とは?フリート契約にする意味は?
ノンフリート契約とはフリート契約ではない契約を指すのですが、果たしてフリート契約とはどのような契約なのでしょうか?
10台以上の車を所有、または使用しているときに、はじめて利用できる契約形態をフリート契約と言います。他にも次のような車は、フリート契約の対象に含まれます。
- 割賦販売(所有権留保条項付売買契約)で購入した車
- 1年以上の期間でリース契約による借り入れをしている車
フリート契約にはいくつかのメリットがあり、詳細は後述しますが次のような効果が期待できます。
- 契約台数によっては80%以上の保険料が割引される
- 新規で追加契約した車にも同率の割引が適用できる
- ノンフリート契約よりも割安の保険料になる
- 運転者リスクの高い年齢でも割引率が影響されない
フリート契約とノンフリート契約の違い
自動車保険にはフリート契約とノンフリート契約という、2つの契約方法がありますが一体どのような点が異なるのでしょうか?
フリート契約とノンフリート契約には、決定的な違いがあります。それが保険料の割り増しと割引を適用する範囲です。
フリート契約は保険料の割引や割増を契約者単位で行うのに対し、ノンフリート契約は自動車1台ごとに割引と割増が適用されます。このように保険料の増減を適用する範囲が異なることから、実際に払う保険料の算出方法も変わります。
個人の場合はノンフリート契約がキホン
個人で自動車保険を契約する場合は、ほとんどの場合がノンフリート契約になります。これはフリート契約が契約者単位の契約であるのに対し、ノンフリート契約が車単位の契約であるからです。
そのため10台以上の車を所有しているなら別ですが、個人での基本的な契約はノンフリート契約です。
フリート契約の割引率の計算方法
続いてはフリート契約の割引率を計算する方法を見ていきましょう。まずフリート契約における割引率を算出するために、次の3つのポイントに注目する必要があります。
- 他社の契約も含めた契約台数の合計
- 払った保険料に対して支払われた保険金の割合
- 前年度に適用されたフリート割引、割増率
それぞれの項目によって、保険料の割引率は増減します。
まず総契約台数を見ると、台数が多ければ多いほど割引率は大きくなり保険料は少なくなります。反対に総契約台数が少なければ割引率は小さくなります。
また保険料に対する保険金の割合を損害率と言い、この値が高くなるほど事故を起こすリスクも高いと判断されるため、割引率は低くなります。
前年度の割引率も考慮されるため、フリート契約の割引率は、総契約台数が多く、保険金も支払われていないのであれば高くなると言えるでしょう。
フリート契約をする『4つのメリット』
フリート契約には様々なメリットがあります。次はこのフリート契約を結ぶことによって、得ることのできる利点について見ていきます。
ノンフリート契約かフリート契約の、どちらを選ぶか迷っているときは参考にしてみましょう。
【1】台数が増えても自動的に保障(全車両一括特約)
フリート契約を結んでいると、所有している自動車すべてを一枚の保険証券で管理することができます。これは台数が後に増えても自動的に補償することができる契約で、全車両一括特約と言います。
確かにフリート契約は、車ごとの保険会社が違っていても契約上問題はありません。しかし全車両一括特約という保証があるので、一般的には一つの保険会社にまとめて契約した方が保険料はお得になります。
具体的にはフリート多数割引という優遇を受けられます。
増車手続きも1回で済む
フリート契約を一つにまとめることで得られるメリットは、フリート多数割引だけではありません。
契約者を増やした時の通知を月1回にまとめたり、増車手続きも1度で済ませることができます。本来の手続きはかなり億劫なので、これもまた1つの利点と言えるでしょう。
【2】保険料が安い(割引率は70%以上)
フリート契約の良いところは何と言っても、保険料の割引率が高いところです。その割引率はノンフリート契約をはるかに上回ります。
先述した割引率の算出条件をどのように満たしているかによりますが、その割引率は70%以上にもなり、最大で80%超の割引率になるので、保険料は本来の20%未満になります。
ノンフリート契約と比較すると、ノンフリートは20等級で60%弱の割引率なので、約20%も異なることが分かります。もちろん無事故であれば更に優遇を受けられるので、圧倒的にフリート契約は保険料が安くなります。
【3】運転者の範囲がひろく年齢条件もない
ノンフリート契約には年齢条件という、補償する運転手の範囲を制限するルールがあります。一方でフリート契約には年齢条件などの制限がなく、補償される運転者の範囲が広くなっています。
例えばノンフリート契約では若い人の方が保険料の割引率が低くなり、全年齢対象の補償だと保険料が割増になっていたりしましたが、フリート契約では条件による保険料割り増しはありません。
こういった条件に左右されないのは、ノンフリート契約にないメリットです。
【4】事故を起こした車があっても割引を受けられる
ノンフリート契約においては事故を起こした件数によって、割引を受けられないことがあります。これは保険料の割引率が、引き起こしてしまった事故の件数に依存しているからです。しかしフリート契約は違います。
フリート契約では事故の件数が割引率に影響するのではなく、事故による損害率が加味されます。つまりもし事故を起こしてしまった車であっても、その損壊率や事故による損害が軽度であれば割引を受ける事ができるのです。
フリート契約をする『2つのデメリット』
フリート契約には様々なメリットがありましたが、反対にもちろんデメリットもあります。続いては自動車保険をフリート契約にする上での、いくつかのデメリットについて見ていきます。
メリットだけでなくデメリットも加味した上で判断しましょう。
【1】1回の事故の等級ダウンで全体の保険料(料率)に影響する
先ほど紹介したフリート契約の割引率に影響しない事故は、小規模のものだけに限られています。フリート契約にしていても大規模な事故など、高額な賠償金の発生するような損害があると損害率は上がります。
損害率が上昇すると、これも先述した通り割引率はかなり下がってしまいます。これが1つの車ならまだしも、この損害率による割引率の減少は契約しているすべての車において適用されてしまいます。
つまり1台でも大きな事故を起こせば、残りの車すべての保険料が上がるのです。これはフリート契約における、かなり大きなデメリットとも言えるでしょう。
保険料を一括で管理したり割引率が多い裏に、残りの車すべての保険料が上がるといったリスクが潜んでいることを忘れてはなりません。
【2】保険料割引の種類が少ない
フリート契約は自動車の数というスケールを活かしたメリットのある契約なので、それ以外に特筆すべき利点がありません。そのため適用できる保険料割引の種類が少ないというデメリットがあります。
例えばノンフリート契約では運転者を制限することで得られる割引や、免許証のグレードで得られる割引など、割引制度には様々な種類があります。
一方でフリート契約にはフリート多数割引など、契約台数に応じたものしかないのもやはり、1つのデメリットになるのです。
フリート契約の気になるQ&A
以上でフリート契約についてはかなり詳しくなってきたでしょうか?しかしまだわからないところが、少しは残っていることでしょう。
最後にここまでで補完しきれなかった、フリート契約についてのよくある疑問について答えます。
【Q1】フリート⇒ノンフリートに移行すると等級引継ぎは?
ノンフリート契約にはノンフリート等級と呼ばれる、運転の安全性に依存した成績のようなものがあります。
ノンフリート等級は他会社への乗り換え時に引継ぎできるのですが、フリート契約からノンフリート契約に移行する際に等級の引継ぎはできるのでしょうか?
答えはNOです。というのも、そもそもフリート契約には等級制度が無いからです。しかしそれまでの事故歴や損害率が、ノンフリート契約でまったく加味されないわけではありません。
ノンフリート契約に移行する際にはフリート契約時の損害率と、ノンフリート契約時の保険会社の等級を照らし合わせたうえで、ノンフリート等級が決まります。つまりある意味では引き継げていると捉えることもできるでしょう。
【Q2】ミニフリート契約ってなに?
もし自動車を3台以上9台以下所有していた場合、ノンフリート契約の特徴を十分に活かせない可能性もあります。そんな時に活用したいのがミニフリート契約という、フリート契約とノンフリート契約の中間のような契約です。
所有するすべての車の保険開始日を一本化し、自動車の保険満期日などその他諸々の管理を一括で行えるようにするものです。
もし加入している保険の満期日がそれぞれ異なっているケースや、契約先の自動車保険会社が異なる場合にはミニフリート契約でまとめましょう。
まとめ
自動車保険の契約形態には2つの種類がありました。
- 契約者単位のフリート契約
- 車単位のノンフリート契約
フリート契約は自動車を10台以上所有している場合に適用できる契約者単位の契約で、主に契約台数や事故の損害率によって割引率は異なります。総契約台数が多く事故も軽度のものしかなければ、割引率はなんと80%を越えます。
そうした大きな割引率や、1つの保険により一括で複数の車を管理できるという手間のかかりにくさは、フリート契約の持つ大きな利点です。
しかし実際は割引方法が少なかったり、大きな事故を起こすと保険料が一気に上がるといったリスクもあります。フリート契約とノンフリート契約以外にミニフリート契約もあるので、よく検討した上で自分に合う契約を選択しましょう。