【完全解説】免停の流れ~通知・手続き・期間・違反点数・免停講習など
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重い交通違反を犯したり違反点数を重ねたりすると、免停(免許停止)や免許取り消しになってしまうということは何となく分かっていても、具体的にどのような内容なのか詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
どうやったら免停になるのか、免停になるとどのような流れで処分や手続きが進むのか、などなど気になることがたくさんあります。
そこで今回は免停(免許停止)について解説したいと思います。
免停(免許停止)とは?概要をかんたんに解説
まずは免停(免許停止)の概要だけを簡単に説明しておきます。免停(免許停止)とは「ある一定期間、運転免許証の効力を停止させて運転を禁じる処分」のことです。
あとで詳しく説明しますが、この処分は行政によるものです。ドライバーが交通違反を犯したときの処分には2種類あり、「行政処分」と「刑事処分」とがあります。免停(免許停止)は行政処分です。
信号無視やスピード違反、酒気帯び運転など交通違反をすると、そのドライバーに対して違反点数が加算されていきます。この積み重なっていく点数がある一定の点数を超えた場合に免停となってしまいます。
累積点数がいくらになれば免停になるのかは前歴の有無や回数によって異なります。
免許の停止期間についても、前歴や違反点数の度合いによって異なります。「前歴なしの6点~8点」では30日の停止期間といった細かな規定が設けられています。
ここまでが免停とは?という概要ですが、免停の詳しい解説に入る前にここで触れた用語についてもう少しだけ解説を入れておきたいと思います。
「行政処分」と「刑事処分」の違いについて
「免停(免許停止)は行政処分」だと伝えましたが、行政処分と刑事処分の違いについて説明を加えておきます。まず、この2つの処分はまったく別物だと捉えておいてください。
それぞれが独立した処分なので、免停の場合には行政処分と刑事処分の両方を受けることになります。端的にいえば行政処分は「公安委員会」の処分であり、刑事処分は「検察・裁判所」の処分です。
行政処分の方は“交通安全“上の処分、刑事処分は“法“を違反した犯罪行為に対する処分というようなイメージです。そのため、免停は行政処分となります。一定期間、車の運転ができないようにするという処分は交通に関わっているからです。
行政処分を受けるだけでは前科がつかないのもこれが理由です。それに対して刑事処分は法に背いた罰ですから、免停は窃盗や傷害などと同様、罰金や禁固、懲役などの刑罰に科されます。刑事処分は免停のほか、6点以上の交通違反に適用されます。
交通違反の点数制度について
交通違反をした場合、ドライバーはその違反内容や事故状況によって違反点数をつけられます。
違反点数は加算式になっており、過去3年間の合計点数が定められた基準点数に達した場合、その合計点数に応じた処分が行われます。
例えば、1点の違反であってもその後、立て続けに5回続けてしまうと、計6点となって免許停止の行政処分を受けることになります。
違反点数のリセット期間について
過去3年間の違反点数の合計によって免停等になるという話をしましたが、違反点数のリセットについては次のようなきまりがあります。
違反を起こしたドライバーがその違反から1年以上、無事故無違反だった場合にはリセットされて0点に戻ります。2点、2点の計4点の人がその最後の違反から1年間無事故無違反であれば4点が0点となるという具合です。
そのほか、過去2年間無事故無違反の場合、そののちに違反したとしても3点以下の違反なら、その日から3ヶ月無違反で過ごすと免除扱いになって点がつかないという優遇処分のようなものもあります。
いずれにせよ、特定の3年間の期限(2021年~2024年など)が経てばどんな点数状況でも0点に戻るというものでもありませんし、3年間無事故無違反でないと0点に戻らないわけでもありません。
累積点数の調べる方法
「累積点数等証明書」を発行すると、過去3年間の累積点数が確認できます。
手続き方法は、警察署または自動車安全運転センターで申請用紙を受け取り、センターの窓口に提出するか郵送します。1通につき630円の手数料がかかります。
交通違反の前歴とは?前歴もリセットする
前歴なしのドライバーの場合には「累積違反点数:6点~」が免停と説明しましたが、そもそも前歴とは?と疑問に思う方もいるかもしれません。
前歴とは過去3年間のうちに「免許停止」「免許取り消し」の処分を受けた場合になり、「前歴1回」「前歴2回」とカウントされ、その回数に応じた処分がなされます。
2点のような違反を行っても前歴がつくと誤解しがちですが、それだけでは前歴とはなりません。
なお、先述の通り、違反点数にはリセットがあります。例えば免停となって前歴1回となったドライバーがその免許停止期間の終了日から1年無事故無違反であれば前歴はカウントされず、「前歴なし」という扱いになります。
「免停(免許停止)」と「免許取り消し」の違いは?
免許取り消しはその名の通り、運転資格をはく奪されます。もう一度車を運転したければ、再取得しなければなりません。ただ、再取得するまでには「欠格期間」が設けられ、その間は運転免許試験の受験資格はありません。
免許取り消しも行政処分であり、前歴がない場合、累積点数15点~のドライバーに該当します。
例えば酒酔い運転は35点であるので、一度の違反でも免許取り消しになります。酒酔い運転の欠格期間は3~7年となっています。短い欠格期間のケースでも、1年間という長さです。
【行政処分】免停(免許停止)の流れ
先の概要で解説したように、ドライバーが交通違反を犯したときの処分には「行政処分」と「刑事処分」の2種類があります。この2つはまったく別物であり、それぞれが独立して処分にあたっているものと認識しておいてください。
免停(免許停止)という処分は行政処分にあたります。ただ、6点以上の交通違反の場合には刑事処分も適用されます。すなわち、免停になる違反をすると刑事処分も受けることになります。
まずは行政処分の流れ、つまり免停(免許停止)そのものの処分の流れを見てみましょう。刑事処分の流れについてはあとで解説したいと思います。
1.行政処分出頭通知書が郵送されてくる
交通違反を犯し、免停になる累積違反点数になったとしても、即刻で免停というわけではありません。手続きを行ったのちに免停にとなります。
警察による取り締まりを受けてから1ヵ月以内に「運転免許行政処分出頭通知書」というものがドライバーのもとに送られてきます。
この通知書はいわば出頭要請を告知するもので、「出頭のための指定日時・場所」が記載されています。
もしその通知を放置し、停止期間中に運転した場合には無免許扱いとなり、点数がさらに加算されます。また、厳しい刑事罰を受ける可能性もあります。
運転者によっては「意見の聴取通知書」が届く場合も
免停期間が90日以上(または免許の取り消し)となった場合には、「運転免許行政処分出頭通知書」だけでなく「意見の聴取通知書」も送られてきます。
これが送られてくるドライバーは違反が重いケースになり、つまり処分も厳しいものになるため、公正で慎重な手続きを踏む必要があります。
そのような理由からドライバーには意見を述べたり有利な証拠を提出したりする機会が与えられます。その意見の聴取のために出頭してくださいと日時と場所が記載されているのが「意見の聴取通知書」です。
なお、免停期間など処分内容については個人によって違いますので、あとでその詳細を紹介します。
2.決められた日時と場所に出頭し、免許証を返納
送られてきた通知書に従って出頭します。そこで書類に記入し提出し、免許を返納します。
免許の停止処分は出頭した日からはじまります。それまでは免停ではないということですが、書類を提出し免許の返納を終えた時点から免停期間に入るので、車の運転には注意が必要です。
3.免停講習(停止処分者講習)を受ける
免停講習を受けることで、免停期間を短縮することができる可能性があります。これは任意の講習なので、受講するかどうかは本人が決められます。
例えば免停処分の期間が39日以下の者なら最大29日分が短縮される可能性があります。そうなれば免停期間が数日で終了するということもあり得ます。
とはいえ、講習の成績によって短縮日数が決められるので、場合によっては短縮できないということもあります。
また、講習料金もかかります。例えば免停処分の期間が39日以下の場合であれば約1万2000円ほどの料金がかかります。
4.免許証の返還を受ける
免停の期間を終えると、管轄の警察署で免許証の返還を受けられます。
必要書類は「運転免許停止処分書」と印鑑です。
免許停止期間について
先の流れの解説で、免停期間が90日以上(または免許の取り消し)となった場合には、「運転免許行政処分出頭通知書」だけでなく「意見の聴取通知書」も送られてくると話しました。
免許停止期間はケースによって細かな規定があり、以下のようになっています。
免許停止の期間 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
30日 | 60日 | 90日 | 120日 | 150日 | 180日 | |
前歴なし | 6点~8点 | 9点~11点 | 12点~14点 | ※15点以上は「免許取消」 | ||
前歴1回 | 4点~5点 | 6点~7点 | 8点~9点 | ※10点以上は「免許取消」 | ||
前歴2回 | 2点 | 3点 | 4点 | ※5点以上は 「免許取消」 |
||
前歴3回 | 2点 | 3点 | ※4点以上は 「免許取消」 |
|||
前歴4回以上 | 2点 | 3点 ※4点以上は「免許取消」 |
前歴とは過去3年間のうちに「免許停止」「免許取り消し」の処分を受けた場合にカウントされます。ただし、一度免停となって前歴1回となったドライバーが免停終了日から1年間無事故無違反であれば前歴はリセットされて「前歴なし」という扱いになります。
これを踏まえて前歴1回、2回と数えますが、当然ながら前歴が多いほど、わずかな違反点数でも長期間の免停となりなす。
前歴なしでは累積点数が15点以上に達すればで免停ではなく免許の取り消しになりますが、前歴3回以上であれば4点以上で免許取り消しとかなり厳しい処分を受けます。
赤キップと青切符の違い
前歴なしの場合、6点以上から免許停止となってしまいますが、それに関連するワードに「赤キップ」「青キップ」というものがあります。
これらは交通違反を犯した場合にきられる「交通反則切符」のことです。赤キップは「道路交通法違反事件迅速処理のための共用書式」という正式名称で、青キップは「交通反則告知書・免許証保管証」といいます。
どちらの切符を切られるかの目安となるのは免停となる「6点」です。6点以上が赤キップ、6点未満は青キップとされます。
つまり、赤キップを切られると一発で免停となります。また、青キップでもそれが積み重なって累積点数が6点以上になると同じ処分になってしまいます。
一発で「免停(免許停止)・免許取り消し」となる交通違反の種類
赤キップを切られて一発で免停となる交通違反は以下のようなものになります。
交通違反 | 点数 |
---|---|
速度超過 一般道路:30km/h以上の超過 高速道路:40km/h以上の超過 |
6点 |
大型自動車等無資格運転 | 12点 |
無車検運行 | 12点 |
無保険運行 | 12点 |
仮免許運転違反 | 12点 |
酒気帯び運転 | 0,25㎎未満:13点 0,25㎎以上:25点 |
過労運転等 | 25点 |
無免許運転 | 25点 |
共同危険行為等禁止違反 | 25点 |
麻薬等運転 | 35点 |
酒酔い運転 | 35点 |
一度のスピード違反だけでも即免停になることもあります。
このうち、15点以上は免許取り消しとなります。また、前歴がある方はこれ以外の違反でも免停になることもあります。
【刑事処分】免停(免許停止)の流れ
刑事処分は6点以上の交通違反に科されることになります。そのため行政処分で免停になりながら、それとは別に刑事処分も受けなければなりません。
ここでは刑事処分の流れを見ていきますが、ケースによって流れに違いがありますので前提となる事柄から解説していきます。
罰金と反則金の違いについて
刑事罰といえば、罰金の支払い、懲役や禁固などという言葉を思い浮かべると思いますが、交通違反したときには「罰金」だけでなく「反則金」という言葉も出てきます。
簡単にいうと罰金は刑事処分で科されるものであり、反則金は行政処分で科されます。反則金は青キップのような比較的軽い違反の際に適用されます。
例えば「信号無視(赤色等)」の場合には「違反点数は2点、反則金は9,000円(普通車の場合)」となっています。違反の種類によって3,000円~40,000円の幅で定められています。
罰金の金額については裁判で決定されるものなので、いくらと固定した金額はありません。
青切符の累積で6点になって免停になった場合
青キップのような点数の低い交通違反が重なって免停となった場合には、刑事処分にはなりません。
この場合には青キップの交付、反則金の納付という流れで、裁判をすることなく処分が終了します。もちろん行政処分の方では免停という処分を受けることにはなります。
赤切符で一発で免停になった場合
赤切符は重大な交通違反に対するものなので、一度の違反で免停になった場合には刑事処分を受ける可能性はかなり高いです。
今からこの場合の刑事処分の流れを見ていきましょう。
1.赤切符の交付と免許の没収
まずは赤切符を交付され、免許も没収されます。この赤切符が免許証の代わりになるので、そこに記載された期限までは運転することができます。
もし重大な違反や事故のケースでは、場合によっては逮捕され勾留されることもあります。
2.交通裁判所に出頭
通知で指定された日時・場所へと出頭します。場所は通常、交通裁判所(簡易裁判所)になります。日時については違反した日から1ヵ月前後で指定されます。この出頭で警察や検察官による取り調べ、関係者への事情聴取が行われます。
この際、略式裁判を承諾した場合には形式的に事実確認をされ、違反した事実を認めると書類のみで裁判が進みます。判決はその日のうちに下されます。略式裁判では罰金金額が決められます。
一般的には略式裁判の流れになりますが、禁錮や懲役が求刑されるような違反などでは正式裁判になることもあります。例えば交通違反によって死亡事故を起こした、飲酒運転をしたなど悪質な違反だった場合です。
また、正式裁判になるケースとして、ドライバーが異議申し立てをするなどの事例もあります。これによって無罪となれば刑罰なしの処分終了となります。ちなみにですが、略式裁判の罰金刑であっても前科はついてしまいます。
3.略式裁判による罰金の支払い・免許証の返還
うえで説明したように基本的には略式裁判による「罰金刑」となります。
罰金の支払い方は裁判を受けた日の即納、振込み、郵送などがありますが、地区によっては支払い方法が決められている場合もあるので、あらかじめ確認が必要です。
罰金を支払い、警察署で赤切符と引き換えに免許証は返還されます。
まとめ
今回は免停(免許停止)について解説しました。
前歴なし(過去3年間で免許停止処分を受けたことがない)のドライバーの場合では「累積違反点数:6点~」が免停となります。
免停の場合には行政処分と刑事処分の両方を受けることになります。また、ドライバーの前歴等によって処分のされ方が変わってくるので、個人の状況に応じた内容をチェックしましょう。